研究課題/領域番号 |
11877373
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研究種目 |
萌芽的研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
化学系薬学
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研究機関 | 奈良女子大学 |
研究代表者 |
矢野 重信 奈良女子大学, 大学院・人間文化研究科, 教授 (60011186)
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研究分担者 |
三方 裕司 奈良女子大学, 理学部, 助手 (10252826)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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研究課題ステータス |
完了 (2000年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2000年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
1999年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 光線力学的療法 / ポルフィリン / クロリン / バクテリオクロリン / 光毒性 / 一重項酸素 / ポリフィリン / マルトヘキサオース |
研究概要 |
1.近年、ポルフィリン誘導体が光線力学的療法(PDT)に用いる光増感剤として注目されている。本研究では優れた光増感剤の開発を目指して生体的適合性に優れた糖分子を有する新規水溶性ポルフィリン誘導体のデザイン合成を行った。 2.糖連結ベンズアルデヒド、ピロールと酢酸亜鉛を原料としてLindsey法を用いて糖の水酸基が保護されたZn-AcSugar TPPを調整し、それらを脱保護することにより、糖連結水溶性ポルフィリンを得た。Free-base AcSugar TPPは塩酸処理することによって調整した。また糖の水酸基が保護されたAcSugar TPPをp-toluenesulfonylhydrazideを用いて還元することにより、糖連結水溶性クロリンやバクテリオクロリンを調整し、それらを脱保護することにより、糖連結水溶性クロリン、バクテリオクロリンを得た。 3.糖連結ポルフィリン、糖連結クロリン、糖連結バクテリオクロリンの合成に成功した。また、糖を連結させたことでバクテリオクロリンが純粋に得られ、バクテリオクロリン合成において初めての例となった。これらのクロリンは、UV-VISスペクトルにおいて長波長領域(650nm)、またバクテリオクロリンはさらに長波長領域(740nm)に大きな吸光係数のピークを持っており組織透過性の向上が期待される。すべての化合物は一重項酸素を発生し、Tetraphenyl porphine Tetrasulfonic Acid(TPPS)の約3倍の量子収率を示す化合物もあった。これらの培養がん細胞(HeLa細胞)に対する光毒性評価の結果、幾つかの化合物は従来にない優れた光毒性を示した。以上、本研究で得られた結果は、糖質による生体適合性に優れた光増感剤の設計の可能性を示す興味深い知見である。
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