研究概要 |
1.DJ-1遺伝子の単離とプロモーター解析 マウスDJ-1 cDNAをプローブとして、ES細胞ゲノムライブラリーよりゲノムDNAをまずクローニングした。高々21KDaと小さなDJ-1タンパク質であるが、10個以上にあたるエキソンを有するものであった。DJ-1遺伝子発現制御機構の解析のために、転写開始点上流にルシフェラーゼ遺伝子を連結させた各種欠損レポーター遺伝子を作製、培養細胞に導入することでプロモーター解析も既に終了した(Taira et al.投稿中)。 2.DJ-1とその結合タンパク質のDJ-1機能への関わり DJ-1をbaitとしたtwo-hybridスクリーニングにより複数のDJ-1結合タンパク質cDNAを単離し、Ubc9,アンドロゲン受容体(AR)インヒビターPIASxa/ARIPS,新規タンパク質3種を同定した.Ubc9によるDJ-1へのSUMO-1付加によりDJ-1は核膜周辺に局在が変動した.DJ-1結合タンパク質として同定したARインヒビターPIASxa./ARIPS,AR,DJ-1との相互関係をAR結合配列をレポーターとしたルシフェラーゼアッセイ,in vitropull-down法,共免疫沈降法で詳細に検討し,DJ-1はPIASxa./ARIPSを吸収することによりARを活性化するARの正因子であることが明らかとなった. 3.内分泌かく乱物質,不妊とDJ-1との相関 マウスにオルニタゾールなどの内分泌かく乱物質を投与するとオスマウスは不妊となるが,これと平行してDHJ-1が顕著に減少した.また,種々の男性不妊患者の精液中のDJ-1は健常人に比較して顕著に減少していた. これより,DJ-1が精子形成に関与し,男性不妊のターゲットタンパク質である可能性が強く示唆された.
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