研究概要 |
日本語の意味解析に必要な3種類の意味辞書のうち、第2の「複文・複文表現意味辞書」の開発を目指す研究である。本年度は,日本語の複文・重文の意味的構造を英語の表現構造に対応させ、その抽象化と計算機処理可能な表現の方法を明らかにするため,日本語と英語の比較表現を採り上げ,その構造上の意味を英語表現と対応させて定義するとともに、第1の辞書開発で得られた日本語単語の単語意味属性体系を使用して、機械処理に適用できるような意味的制約条件が記述できるかどうかを検討した。 その結果によれば,日英機械翻訳の場合,日本語表現に対応する英語表現は比較的決定しやすいのに対して,英日翻訳での日本語表現の決定はより困難が予想される。しかし,平均的に見ればいずれの場合もパターンの平均多義は,3程度であるから,これを意味類型によるパターン選択の曖昧性と考えると,翻訳パターンを決定するには,数件のキーワードなど,意味的識別を可能とする指標を導入すれば良さそうである。 ここで,意味的に類型化されたパターングループの中から,最適な翻訳パターンを選択するためのパラメータとして何を導入すればよいかが問題となるが,まず,考えられるのは,意味の強さのパラメータである。 これらの検討結果を「日本語意味類型に着目した日英意味辞書の研究企画」としてまとめ,2年前に私的な研究会として発足させた「辞書プロジェクト委員会」(15名)に提案し,次年度以降の共同研究の方法について議論をした。
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