研究概要 |
今回、申請者は約24時間周期の生物時計を人工的に作成する基礎研究として、マウス時計遺伝子の構造解析、時計遺伝子の発現領域の解析、時計遺伝子を入れる株価細胞の特定、時計遺伝子の導入を行った。 1.マウス時計遺伝子の構造解析 1)mPer1プロモーターの解析マウスゲノムライブラリーより、mPer1遺伝子のプロモーター領域を含む約30kbpのゲノムを単離した。この領域には、24時間周期の遺伝子発現に重要であると考えられているE-box配列(CACGTG)や、光による発現誘導に必要とされる cAMP 応答配列(TGACGTCA)、AP-1配列(TGANTMA)などが多数存在することを明らかにした。 2.時計遺伝子における遺伝子発現調節機構の解明 翻訳開始コドンより上流約7.2kbpのゲノムDNAをルシフェラーゼ遺伝子とつなぎ、GH3細胞に導入し、各種条件でプロモーター活性が変動することを示すことを明らかにした。 3.時計遺伝子を発現させる株化細胞の選定Northern hybridization、PCR法などを用いてどのような時計遺伝子が哺乳類のセルラインに発現するかを検索した。その結果rat-1ではmPer1,mPer2,mPer3,Cry1,Cry2が多く発現していた。しかし、COS7細胞では、mPer1,mPer2の発現が少なかった。 4.時計遺伝子の導入 rat-1細胞に血清刺激を行い、3周期の約24時間のリズムを認めた。フォルスコリン刺激でも同様であった。不完全な遺伝子発現をしているCOS7細胞にmPer1,mPer2遺伝子を導入してリズム発現の実験を行ったが、現在のところリズム発振現象は認められなかった。
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