研究分担者 |
渡辺 巌 大阪大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50028239)
太田 俊明 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (80011675)
村田 隆紀 京都教育大学, 教育学部, 教授 (10027675)
田中 庸裕 京都大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (70201621)
江村 修一 大阪大学, 産業科学研究所, 助手 (90127192)
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研究概要 |
1996年フランスのグルノーブル,および,1998年アメリカ合衆国のシカゴで開催された国際X線吸収分光学会理事会において2000年に日本の兵庫県で第11回X線吸収分光法(XAFS)に関する国際会議が開催されることが決定された。XAFSは物資のミクロ構造,電子状態,磁気特性などの情報を得ることができる比較的新しい分光法であり,その有用性は分析化学の分野のみならず物理学,材料科学,触媒科学,環境科学,生物科学,地球科学などの広い分野で認められその重要性は年々高まっている。この第11回XAFSに関する国際会議は世界最強度の大型放射光施設が兵庫県の西播磨地区に建設されたことに関連し,第3世代の放射光の特性を生かした将来の研究を方向付けることを目的とするものである。ところで,日本は,文部省高エネルギー加速器研究機構物資構造科学研究所(つくば市)に世界第一の安定度を誇る放射光研究施設を有しており,X線吸収分光法の研究では世界的に先導的な役割を果たしているが,第3世代の放射光を用いた研究はまだその緒についたばかりである。第11回XAFSに関する国際会議の目的を達成するために各分野の専門家が協力して世界の研究動向の調査および第3世代の放射光実験施設の現状把握を行った。XAFS分光学は他の分光学と同じく,理論・解析,装置開発,応用という小分野に分かれる。理論・解析ともに,すでに爛熟期に達しており,大きな流れを変えるような研究は昨今出ていない。一方,装置開発に関しては,SPRing8の登場で大きな変革が得られた。シカゴ,グルノーブルで開発された技術以外に,テーパードアンジュレータを用いた極微量元素のXAFSの測定が可能になった。応用に関しては,多くの材料を扱う分野で,「その場」測定の重要性が高まっている。
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