研究分担者 |
大山 秀樹 岡山大学, 歯学部, 助手 (90280685)
西村 英紀 岡山大学, 歯学部・附属病院, 講師 (80208222)
村山 洋二 岡山大学, 歯学部, 教授 (50029972)
安孫子 宜光 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (70050086)
栗原 英見 広島大学, 歯学部, 教授 (40161765)
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研究概要 |
う蝕や歯周病は口腔局所のみの疾患にとどまらず,全身の健康状態にも大きく影響を及ぼすことが明らかとなった。現在,いかにう蝕や歯周病を予防するかその効果的な手段が模索されている。なかでもう蝕や歯周病の病因細菌に対する免疫療法や予防ワクチンの開発研究の推進が急がれる。本研究ではう蝕や歯周病の発症を予防する免疫療法やワクチン開発についてその最新の技術や戦略について企画調査を行い,国内外の研究機関との共同研究へと発展させることを目的とし,以下のような成果を得た。1)ワクチン抗原候補:S.mutansでは菌体表層抗原(Pac),グルカン合成酵素(GTase)がP.gingivalisでは線毛蛋白(FimA),外膜蛋白(Pga53とPga67),赤血球凝集素(HagA),各種蛋白分解酵素(KGP,RGP等)が,またA.actinomycetemcomitansでは線毛蛋白(FapA)等がワクチン抗原候補として有力視されている。2)免疫方法:病因細菌のワクチン抗原を用いた能動免疫はサル等に対する動物実験では,感染防御効果が確認されているが,ヒトに対しての投与は安全性や副作用等が問題である。その実用化までにはまだ時間を要するが,経口粘膜免疫による新しい抗原投与方法での成果に期待が寄せられている。一方,ウシやニワトリ等の動物に病因細菌の抗原を免疫して得た抗体またはそれらの抗原に対して作製したモノクロナール抗体,組換え抗体あるいはヒト型抗体を口腔内に含ソウや塗布する受動免疫は現実性が高いが,有用抗体の量産化がカギとなっている。3)新型ワクチン:う蝕や歯周病病因細菌の全塩基配列決定が目前となり,その情報をもとに遺伝子工学手法を駆使したリコンビナントワクチンやDNAワクチン等が有望である。4)共同研究:本企画調査の成果をふまえて,国内外の研究者との共同研究へと発展させる体制が整った。
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