研究概要 |
熱感知型加速度計の数値シミュレーションにおいては,与える加速度のベクトルの大きさの組み合わせの数を増やし,シミュレーションを行い,出力のデータを収集した.加速度の大きさを昨年度の10倍の200Gまで増やし,センサーとしての感度,精度,干渉度を明らかにした.実用化された場合のスペックを明らかにしたことは重要である.さらに,加速度に単振動を与えることで,センサーとしての応答性や追従性の解析も行った. 実際にセンサーとして機能させるために,適宜,出力値を設定し,与えられた加速度を正確に逆計算する手法も構築した. 動作流体として空気以外の気体(ヘリウム)を用いてシミュレーションを行い,熱力学的な相似性の解析を行い,気体の物性値とセンサーの設計に関する考察も行った. 噴流型加速度センサーの数値シミュレーションについては,新たに3層構造のセンサーの設計を行った熱線センサーを設置する中間層のみ標準のMEMS技術で作製し,他の層は熱エンボス加工か旧来の機械加工で作製できる。噴流が出る流路の形状を2つ用意し(流路がやや広い:Type1,やや狭い:Type2),それぞれについての特性調査を行った.噴流を作るためのピエゾ素子の振動数を変化させ,最適な値が存在することを明らかにし,その値を算出した.Y軸周りとZ軸周りの加速度に対するセンサーの感度はType2の方が良いことが明らかとなった.しかし,両加速度の干渉による誤差出力も大きいことが明らかとなり,さらなる設計の考慮が必要であることが分かった. これらの研究報告は3件の国際会議,3件の国内会議で行った.また,噴流型加速度センサーについては今年の1月に学術誌に掲載された.
|