研究概要 |
本研究では, キャベツ(B. oleracea)に同定されている5つの根こぶ病抵抗性QTLから, 抵抗性遺伝子をクローンニングするとともに, 最も効果の大きいQTL, pbBo (Anju1)近傍に分子マーカーを位置づけ, マーカー利用選抜技術を確立することが目的である。 PbBo (Anju) 1領域とシンテニーのあるシロイヌナズナの第5染色体に着目しての開発したESTマーカーについて, SCAR化を行った。また, 同領域がより近縁種であるB. rapaの第2染色体とも相同性を示すことを利用して, 分子マーカーを設計した。その結果, 設計した42ESTマーカーのうち, 22マーカーをPbBoAnju1領域, 13cM内にマップできた。抵抗性親×罹病性親由来のF2分離集団において, 今回作成したPbBoAnju1近傍マーカーを用いたDNA検査の結果と病原菌の接種検定の結果が一致し, DNAマーカー選抜が確実に機能することを確認することができた。 PbBo (Anju) 1が存在すると推定される領域とシンテニーを示すシロイヌナズナやB. rapaゲノムの対応領域が明らかになった。この結果と, 次世代シーケンサーを用いた抵抗性親と罹病性親の全ゲノムシーケンス解析から決定したPbBo (Anju) 1が座乗するゲノム領域のシークエンス結果を合わせて, 現在, PbBo (Anju) 1座の候補遺伝子の同定を行っている。現時点で, NBS-LRRモチーフなど病害抵抗性遺伝子の特徴を持つも複数の遺伝をターゲット領域内に見いだしており, これらを根こぶ病抵抗性遺伝子(PbBoAnju1)の候補遺伝子として挙げている。
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