研究課題/領域番号 |
11F01346
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 外国 |
研究分野 |
高分子・繊維材料
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
君塚 信夫 九州大学, 大学院工学研究院, 教授
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研究分担者 |
PENGFEI Duan 九州大学, 大学院工学研究院, 外国人特別研究員
DUAN Pengfei 九州大学, 外国人特別研究員
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
2013年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 500千円 (直接経費: 500千円)
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キーワード | フォトン・アップコンバージョン / 分子性液体 / ソフトマテリアル / 再生可能エネルギー / 光物性 / エネルギーマイグレーション / 自己組織化 / 配位高分子 / エネルギー移動 / 可溶化 / 亜鉛錯体 / 成形性 / 分散性 / 超分子 / 一次元金属錯体 / 分子ワイヤー / Zn(II) / 蛍光 |
研究概要 |
Triplet-triplet annihilation (TTA)機構によるアップコンバージョンでは、ドナー(増感剤)、アクセプター(発光体)として働く2種の色素分子を有機溶媒に溶解させる。しかし, この過程を担う励起三重項状態は酸素に対して不安定であるため、空気中ではアップコンバージョンが起こらないという致命的な欠点があった。また、揮発性の有機溶媒を用いるため、太陽電池などのシステムに応用することは事実上不可能であった。今回、従来のような媒体中における色素分子の拡散を用いるのではなく、色素分子自体が液体となるために、溶媒なしで液体分子間を3重項エネルギーが移動するという、全く新しいメカニズムに基づく高効率のフォトン・アップコンバージョンを実現した。さらに、このアップコンバージョンは空気(酸素)が存在しても影響をうけず、空気中で作動する汎用性の高い手法であることを明らかにした。アクセプターとしてはジフェニルアントラセンに分岐アルキル鎖を導入した分子性液体を用い、その液体中にドナー分子として白金ポルフィリンにアルキル鎖を修飾したものを溶解させた。ここで、一般に用いられる市販のドナー色素(オクタエチル白金ポルフィリン)は今回の分子性液体に溶解しないことから、分岐鎖を導入したドナー分子を開発した結果、はじめて溶媒のない液体系光アップコンバージョンシステムの開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
今回初めて開発した液体アップコンバージョン分子システムは、単純な分子システムであるにもかかわらず、空気中においても高効率なフォトン・アップコンバージョンを実現できる。分子の溶液中における拡散ではなく、エネルギーそのものを移動させるという新しいコンセプトに基づく光アップコンバージョンという新しい研究分野を開拓したものであり、当初の計画以上に研究が進展したと判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
フォトン・アップコンバージョンが空気中において安定である理由を多角的に検討し、解明することで、一般的な方法論を確立する。これにより、アップコンバージョン現象の応用において最も大きな課題であった空気不安定性を解決でき、現実的な技術として応用されると期待される。
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