研究課題
特別研究員奨励費
超電導機器の実用化に向けて、臨界電流密度の向上と超電導線材の作製コスト削減の両立が求められており、新しい超電導層の合成プロセスの開発が求められている。超電導体は、コイルや撚り線の形で使用することから、テープ状の線材として製造されるが、優れた超電導特性を得るためには、下地層および超電導層を、テープ基材上に結晶方位を揃えて成長させる必要がある。本研究では、高強度レーザーを援用した化学気相析出法を用いて、CeO_2下地層およびYBa_2Cu_3O_<7-δ>超電導層を合成する。本年度は、高い配向性を有する下地層および優れた超電導臨界電流密度を示す高温酸化物超電導体の合成プロセスを開発することを目的とした。単結晶基板上にα軸に配向したCeO_2単結晶厚膜の合成に成功した。TEM観察においては、膜中に粒界は認められず、原子レベルで整合した界面を有していた。CeO_2単結晶厚膜は、高い透明性を示した。さらに、原料供給系および原料の噴霧・気化器とレーザーCVDを組み合わせてYBa_2Cu_3O_<7-δ>沁膜を合成した。原料には、各金属のβ-ジケトン錯体をテトラヒドロフラン溶液に所定のモル比で混合したものを用いた。無脈動液体搬送ポンプを用いて加熱容器へ搬送して気化させることによって、精密に組成を制御した。本手法により合成したc軸配向YBa_2Cu_3O_<7-δ>膜は、実用レベルの高い超電導臨界電流密度2.7MA/cm^2を示した。TEM観察においては、膜中にらせん転位および積層欠陥の生成が認められた。これらの微細な欠陥構造は、超電導電流に対してピン止め効果を示すことで、臨界電流密度の向上に寄与したものである。
(抄録なし)
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