研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、イトカワのような大小の岩片で覆われた微小小惑星の表面・内部構造の特徴を説明するために、粉粒体が微小重量下でどのように振る舞うかを理解することである。前年度から製作してきた小型の遠心加速装置では、模擬重力加速度を地上重力加速度の20倍までかけることができる。回転する円柱容器にガラスビーズを封入し、容器をゆっくり回転させてガラスビーズ層の表面の角度(安息角)を測定し、基礎的な粉体の物理量である安息角の重力依存性を調べる実験を行った。他方、表面粒子の粒度偏析はイトカワ表面の大きな特徴のひとつである。振動による粒度偏析(ブラジルナッツ効果)への重力の効果を調べるために、ドイツのブラウンシュバイク大学とミュンヘン大学との共同研究として、2012年12月にパラボリックフライトにて低重力加速度すなわち、火星表面と月面の重力加速度を模擬した実験を行った。直径1mmのガラスビーズ層の中に直径8mmのガラスビーズを入れ、直径8mmのガラスビーズが1mmのガラスビーズ層の底から表面にのぼってくる時間が、ビーズ層の高さ・振動エネルギー・重力加速度によってどのように異なるかを調べた。その結果、上昇時間は、重力加速度の一乗に近い依存性を持つことがわかった。この成果は、査読の有る専門誌に投稿し、すでに受理されている。パラボリックフライト実験では安息角の測定実験も行っており、地上重力および遠心加速装置を用いた高重力の結果と比較検討を行い、査読誌に投稿する論文を準備する予定である。さらに、ブラウンシュバイク大学の自由落下装置を用いて、微小重力下にある粉粒体に衝突した弾丸が、どのような抵抗力を受けて減速するかを調べる実験も行った。砂とガラスビーズという、粒子問摩擦力や固着力の異なる粉粒体で、抵抗力がどのように異なるのかのデータ解析を進めつつある。
すべて 2013 2012 2011
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件) 学会発表 (6件)
Phys. Rev. E.
巻: (accepted)(掲載確定)
Icarus
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