研究課題/領域番号 |
11J00051
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
薄膜・表面界面物性
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
治田 充貴 独立行政法人物質・材料研究機構, 表界面構造・物性ユニット, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 走査型透過電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光法 / 遷移金属酸化物 / 局所電子構造 |
研究概要 |
材料の物性を原子レベルから理解することは、物性発現の起源を知る上でもまた新規材料設計の分野においても非常に重要である。特に、遷移金属酸化物は高温超伝導や巨大磁気抵抗効果など興味深い物性を示すものが多く、物性発現の起源の解明が求められている。材料を高い空間分解能で分析する際に役に立つのが電子顕微鏡である。近年、電子顕微鏡の分野では、走査型透過電子顕微鏡(STEM)と電子エネルギー損失分光法(EELS)を組み合わせることで、原子の配列だけでなく個々の原子の電子状態をも分析することが可能である。しかしながら、現在のところ全ての原子に対してこのような分析が行えるわけでなく、これまで遷移金属酸化物では陽イオンは原子分解能での分析が比較的容易に行えたが、陰イオンである酸素原子に関してはいくつかの物理的制約から真に原子分解能で電子状態を分析することが困難であった。 本研究ではこれらの問題に対し物質・材料研究機構に設置されている最新のSTEMを用いて以下の研究を行なった。 ・オーストラリアのメルボルン大学との共同研究によって実験データから真に原子分解能の酸素スペクトルを抽出する方法を提案。 ・原子分解能で得られた酸素の電子状態を第一原理計算によって詳細に解析 ・酸素のEELSスペクトルに見られるコアホール効果について原子レベルで分析 以上の結果により、酸素のEELSスペクトルが初めて真に原子分解能で理解することができた。 この結果は電子状態マッピングを行う上でも、顕微鏡像に電子状態という物理的意味のある情報を与えるだけでなく、様々な酸化物に応用可能な手法であり非常に重要な結果である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
理論計算グループであるメルボルン大学との共同研究により、いくつかの物理的問題点が大きく改善されたため。
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今後の研究の推進方策 |
今回、結晶学的に非等価な同種原子サイトの電子状態を区別する研究を行なったが、今後は結晶学的に等価な酸素サイトの2p軌道を区別(p_x,p_y,p_z)し、原子分解能以上の情報を抽出することで究極的な空間分解能を達成し、その上で複雑な系にも実際に応用を行うことで、物性と電子状態との関係性について明らかにしていく。
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