• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

鯨骨を用いたサツマハオリムシの生態学

研究課題

研究課題/領域番号 11J00307
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 生態・環境
研究機関広島大学

研究代表者

八巻 鮎太 (篠崎 鮎太)  広島大学, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2011 – 2013-03-31
研究課題ステータス 中途終了 (2012年度)
配分額 *注記
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
キーワードサツマハオリムシ / 成長 / 行動 / 硫化水素濃度 / 溶存酸素濃度
研究概要

ハオリムシ類は,深海の熱水/湧水/鯨骨域等,硫化水素に富んだ環境に生息する多毛類である.口や消化管を欠き,体内に共生させる硫黄細菌が硫化水素を利用して作り出す有機物に完全に栄養依存する.この一般に有毒である硫化水素を,硫黄細菌との共生というかたちで利用する生存戦略は,生物の極限環境に対する適応や細胞内共生の進化を探るうえで興味深い.我々はこれまでの研究で,鯨骨が腐敗して発生する硫化水素を用いた飼育系で良好な飼育と繁殖に成功した,本研究では1)成長に及ぼす環境要因の解明と2)飼育下での幼生獲得と着底初期幼生の生態解明を目的とし,本年度は主に目的1に関連する研究を行った.先行研究ではハオリムシ類の成長は周辺の硫化水素濃度に影響を受けると推測されているが,実際に関係が示された例はない.また,ハオリムシの付着した鯨骨の周辺の硫化水素濃度はよく分かっていない.さらに,環境変化に伴うハオリムシ類の行動について,これまで全く知見がなかった.以上から,本年度は鯨骨周辺の環境の把握およびそれに伴うハオリムシの行動を明らかにするため,飼育環境下の鯨骨周辺の硫化水素濃度測定と共に,鯨骨付着サツマハオリムシの行動解析を行った.
鯨骨表面の硫化水素濃度分布は局所的に変化する事を明らかにした.これは同一の鯨骨上の異なる部位という微小環境間でも成長速度に差を生じる可能性を示唆する.また鯨骨は極めて低いDO環境に置かれない限り,局所的に硫化水素濃度の高い,極めて湧水域に近い生息環境を形成することを明らかにした.さらに,鯨骨付着サツマハオリムシの鰓の出入行動には,DOだけでなく硫化水素濃度も関係している可能性が高く,環境中の硫化水素濃度が成長だけでなく行動にも影響を与える事を示唆する.これらはハオリムシ類の生存にとって重要な,硫化水素の濃度を敏感に感じ取り行動に反映させる能力を有力に示す初めての結果である.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

目的1,2共に使用する予定だった新たなサツマハオリムシ付着鯨骨(ハンドリングを良くするために断片化して設置した骨)が,調査機器の故障で回収できなかったため,当初予定していた実験を実施できなかった.

今後の研究の推進方策

今後は,本年度に回収できなかったサツマハオリムシ付着鯨骨の回収を最優先に行う.4月に予定されている調査航海で回収する予定である.回収後,目的1については本年度の成果を鑑み,DOコントロール水槽を用いて環境をコントロール,骨表面の硫化水素濃度を詳細に測定,成長との関係を明らかにする.目的2については,回収した鯨骨に付着する幼生を採集,また実験室内での採卵,発生実験を行い,幼生を採集,初期生活史を明らかにする.

報告書

(1件)
  • 2011 実績報告書
  • 研究成果

    (2件)

すべて 2012 2011

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] 飼育環境下における鯨骨周辺の硫化水素濃度分析と鯨骨付着サツマハオリムシの行動解析2012

    • 著者名/発表者名
      篠崎鮎太, 小西正朗, 和辻智郎, 小栗一将, 河戸勝, 藤原義弘
    • 学会等名
      ブルーアース2012シンポジウム
    • 発表場所
      東京都品川区
    • 年月日
      2012-02-22
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [学会発表] サツマハオリムシの成長速度2011

    • 著者名/発表者名
      篠崎鮎太, 河戸勝, 三宅裕志, 藤原義弘
    • 学会等名
      日本動物学会第82回大会
    • 発表場所
      北海道旭川市
    • 年月日
      2011-09-22
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書

URL: 

公開日: 2011-12-12   更新日: 2024-03-26  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi