研究概要 |
2013年度の特別研究員 橋本 操の活動としては, まず年間を通じて, 関連する論文や書籍の精査し問題の一層の深化を図ってきた. 2012年度に引き続き, 古文書と言った郷土資料を収集し, 近代の人間活動が野生動物に与える環境の変化, 産業としての林業・農業の変化と里地里山の変化について分析を行った. これにより, 歴史的な人間活動の変化が野生動物の生息環境へ与えてきた影響についての分析は, 2012年度に比べより一層進めることができた. 次に, 長野県環境保全研究所を訪れ, 狩猟や有害駆除, 獣害に関する資料の収集, 担当者や研究者と研究にっいて打ち合わせを行った. 自身の研究により, 長野県内のツキノワグマの生息域の変化と, 生息環境の変化についてGISを用いて分析を行った結果, ツキノワグマの出没最前線になっている地域を把握し, 長野県環境保全研究所の専門研究者に情報提供を行った. 野生鳥獣対策の担当者や専門研究者との意見の交換は, 今後自身の研究を進めていくに当たり, 研究の参考となることが多いに期待できた. 一方, 2011年度, 2012年度に引き続き, 長野県飯田市を中心に意欲的に狩猟者や農業従事者へ聞き取り調査を進めた. さらには, 被害にあっている現場を訪れ, 土地利用調査を実施するなどの調査を行い, 多くの成果をあげることができた. 以上の成果を基に, 2013年5月には日本地球惑星科学連合2013年大会でポスター発表を行った. さらに, 昨年度に引き続き北海道平取町での調査で収集したデータを基に執筆した「集落へのヒグマ出没の人的要因―北海道平取町を事例に―」が日本地理学会の機関誌地理学評論の論説として2014年3月に受理された。 そして, 現在博士論文として長野県飯田市で収集したデータを基に執筆中であり, 着実に研究成果をまとめている.
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