2次元光格子ポテンシャル中の原子からの発光を、開口数(NA)=0.75の対物レンズを含む倍率100倍の結像系を通して観測することに成功した。 まず、水平方向の光格子用ビーム(波長532nm)が入る2軸(x、y軸と呼ぶ)それぞれに沿って、波長556nmのビームを照射ならびにミラーでの打ち返しにより光モラセスを作り、原子を発光させた。 これに関し、x、y軸方向について、6μmの周期の発光の強度分布を観測した。私は、これが、モラセス光が作る定在波のピッチと光格子のピッチとの相違に起因して生ずる干渉パターン(いわゆるMoireパターン)であることを確認した。実際、光モラセス光を打ち返すためのミラー位置を変調することで、強度分布が一様になることも確認した。このMoireパターンが観測できたということは、確かに原子が、光格子ポテンシャルの中で発光していること、ならびに、少なくとも数μmの原子の空間構造をとらえられるイメージング系を開発できたということを意味している。 さらに、私は、より高い分解能を得るため波長399nmの光をプローブに用い、同時に波長556nmの光で原子を冷却し光ポテンシャルから原子が逃げるのを防ぐ"2重光モラセス"による発光イメージングにも成功した。私は、2重光モラセスにより、CCDカメラにて1原子からの発光観測に十分な発光(1原子あたり最大400photons)の観測を達成した。 また、光格子のビームのガウシアンプロファイルによる光強度の空間不均一を利用した高空間分解制御を目指し、私は、基底状態1S0状態と3P2状態間の超狭線幅の波長507nmの光学遷移を用いて、非常に深い2次元光格子中の原子の分光実験を行った。空間分解に適した最大数MHzのライトシフト、および、幅広いスペクトル分布が得られることを確認した。
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