研究課題
特別研究員奨励費
細菌の増殖速度および原生生物による捕食速度とウイルス溶菌速度を同時に見積もることのできる改良希釈培養法と呼吸鎖キノン分析を組み合わせることで、亜集団の増殖および死滅速度を見積もることに成功した。実験の結果、細菌群集の増殖速度は、原生動物による捕食およびウイルスによる溶菌によって死滅する速度と、ほぼ釣り合うことが示された。自然細菌群集の死滅要因としては、様々な環境要因が考えられるが、琵琶湖の細菌群集は物理化学的な環境要因の変化によって死滅する前に、捕食と溶菌によって速やかに死滅していることが推察された。また、補食および溶菌による死滅様式は、亜集団によって異なるというよりは、密度依存的な補食と増殖速度依存的な溶菌で説明できることが示唆された。さらに、現場で優占する亜集団(ユビキノン-8および10含有細菌亜集団)は、速い速度で活発に増殖し、その後速やかに死滅することから、微生物ループにおける細菌群集を介する炭素流の大部分(約6割)を駆動していることが明らかとなった。一般に、淡水湖沼や河川ではBetaproteobacteriaに属する細菌が優占することが知られているが、この細菌群の多くはUQ-8を保持していることが報告されている。このことから、UQ-8保持亜集団は、淡水環境の微生物ループの炭素循環過程において重要な役割を担っていることが考えられる。本研究は、呼吸鎖キノンによって細菌群集を亜集団に分割することで、優占細菌亜集団と微生物ループにおける炭素循環との関係を明らかにした。
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