研究課題
特別研究員奨励費
本研究の目的は、極性分子YbLiを用いてLattice-Spin Mode1を実現し、量子スピン系の物理を研究することである。そのために、量子縮退領域にまで冷却されたYbとLiの原子混合系を光格子に導入してから、フェッシュバッハ共鳴と誘導ラマン遷移を用いて振動回転基底状態のYbLi分子を生成する。前年度までにYbとLiの量子縮退混合系を実現していたが、光格子実験が可能になるようにセットアップを再設計し、光学系を再構築した。光格子は、Lattice-Spin Modelの実現にはもちろん必要だが、その他に、基底状態YbLi分子が衝突によりYb2Li2分子へ遷移してしまう可能性を排除するためにも必要である。すなわち、光格子の各サイトにYb原子とLi原子を1個ずつ配置してからYbLi分子を生成するという手法を採る。実験では、波長1064nmのレーザーを用いて、3次元光格子を構築した。まずYb BEC(単体)を光格子にロードして、浅い光格子で多重物質波干渉を確認し、深い光格子で干渉縞が消失することも確認した。さらに、Li原子を混合した時に、物質波干渉の可干渉性がわずかに低下することを観測した。また、光格子に原子をロードした段階では中心付近のサイトで多重占有になってしまい、各サイトにYb、Li原子が1個ずつ配置されない。そこで、Yb原子に対して1光子光会合を用い、奇数占有数のサイトでは原子を1個だけ残し、偶数占有数のサイトではすべての原子をトラップから逃がすことで、光格子の各サイトを占有数0または1のいずれかにすることに成功した。フェッシュバッハ共鳴に関しては、基底状態Yb-Li間では共鳴幅が非常に細く、実験で観測することが非常に難しいため、準安定状態3P2のYbと基底状態Li間での、異方性誘起フェッシュバッハ共鳴の実現可能性を考えた。そのための取り組みとして、3P2状態Ybの波長1μmの光トラップでのライトシフトを測定し、トラップ可能な状態が存在することを明らかにした。
すべて 2013 2012 2011
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (14件)
Physical Review Letters
巻: 106 号: 20 ページ: 205-304
10.1103/physrevlett.106.205304
Physical Review A
巻: 84 号: 3
10.1103/physreva.84.030702