研究概要 |
平成23年度の研究成果(球形飛行体による定在斜めデトネーション波の生成条件の解明)を普遍化するため,飛行体のスケール効果を解明した.飛行体速度がデトネーション波伝播速度より高い条件において,異なる球直径の飛行体を用いて直接比較・議論したのは本研究が初めてである.観測された燃焼形態の波面構造は,平成23年度の研究成果で明らかにされた4つに分類され,定性的には飛行体スケールに依存しないが,これらの発生条件(初期圧力)は,異なることが分かった。飛行体スケールが波面曲率半径に与える影響について,2つの特性が明らかになった.1つは,定在斜めデトネーション波面の形状スケールは飛行体スケールに概ね比例する.2つめは,セルサイズで無次元化された限界曲率半径の値は,混合気組成には依存するが,飛行体スケールには依存しない.以上より,定在斜めデトネーション波の生成条件は,異なる飛行体スケールにおいても,飛行体直径とセルサイズの比で整理可能であることを解明した. 加えて,飛行体周りの衝撃波誘起燃焼の不安定性(振動燃焼)に着目した実験も行った.振動燃焼の高時間分解能(撮影間隔1μs)での可視化観測は,本研究により初めて行われたものである.この燃焼不安定性の存在は,飛行体周りの衝撃波の強さを大きく変動させることが直接観測され,デトネーション波起爆過程において重要な役割を果たす可能性が明らかにされた. また,連続デトネーション波エンジンの燃料・酸化剤供給部および既燃ガス排出部の要素研究として,細管内でのデトネーション波の減衰機構を検証した。可燃性混合気の組成,初期圧力および細管形状を変更した実験を行った.細管通過によるデトネーション波消失および衝撃波減衰を,高速度カメラを用いて直接観測し,衝撃波減衰量の整理パラメータ(細管直径とセルサイズの比)の解明,および本パラメータを説明する物理モデルを構築するに至った.
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