研究課題
特別研究員奨励費
これまでの研究で、クルクミンの誘導体であるモノアセチルクルクミンが修復型のDNAポリメラーゼλを選択的に阻害し、抗炎症作用を有することを明らかにした。そこで、DNAポリメラーゼλと炎症反応との関係性について検討を行った。RAW264.7細胞にLPS(リボ多糖)で炎症刺激を与え、DNAポリメラーゼλ発現の時間依存的変動をreal-time PCRやwestern blottingを用いて検討した。LPS刺激後、24、36、48時間でDNAポリメラーゼλのmRNA、タンパク質発現がともに増加することを明らかにした。この結果から、DNAポリメラーゼλが炎症反応に関係する可能性が示唆された。さらに、修復型のDNAポリメラーゼβとDNAポリメラーゼμのmRNA発現の時間依存的変動をrea1-time PCRを用いて検討した。LPS刺激後、24、36、48時間でDNAポリメラーゼβとDNAポリメラーゼμのmRNA発現が有意に増加することを明らかにした。これらの結果より、修復型のDNAポリメラーゼの発現はLPS誘導性の炎症反応によって増強されることが明らかとなった。次に、炎症反応で増加する修復型のDNAポリメラーゼの発現に対するモノアセチルクルクミンの影響を検討した。モノアセチルクルクミンは、LPSの炎症惹起による修復型のDNAポリメラーゼの増加を抑制していることが明らかとなった。このことから、モノアセチルクルクミンは、修復型のDNAポリメラーゼの発現増加を抑制することで抗炎症作用を発揮している可能性が示唆された。そこで、RAW264.7細胞にDNAポリメラーゼλのsiRNAを導入し、DNAポリメラーゼλの発現を低下させた条件下での炎症反応の変化を検討した。DNAポリメラーゼλの発現を低下させたRAW264.7細胞に、LPSで炎症刺激を与え、24時間後のIL-1βのmRNA発現を検討した。その結果、DNAポリメラーゼλの発現低下によるIL-1βの発現の変化は認められなかった。今後は、他の修復型DNAポリメラーゼの分子種に対するsiRNAを用いて同様の実験を行い、炎症反応とDNAポリメラーゼの関係性について解明していく。
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