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ひきこもり現象の量的調査研究と原因理解-現代日本における逸脱論の新展開を目指して

研究課題

研究課題/領域番号 11J01288
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 社会学
研究機関大阪大学

研究代表者

井出 草平  大阪大学, 保健センター, 待別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2011 – 2013
研究課題ステータス 完了 (2013年度)
配分額 *注記
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
キーワードひきこもり / 逸脱 / 社会病理 / 不登校
研究概要

本研究目的は、日本に40万人規模で存在するとされているひきこもり現象の原因理解を行い、逸脱現象への理論的貢献をすることである。ひきこもりが社会問題化されて10年あまり経つが、ひきこもりの規定要因を研究する研究は未だに不十分である。
特にひきこもりを対象とした量的研究は少なく、大学生のひきこもりを対象とした井出・水田・谷口(2011)など限られていた。本研究はでは対象を拡大し、一般人口を対象とした調査を行った。量的研究が不足している現在では、インプリケーションのある結果を引き出すことができた。
調査結果の概要を記載する。ひきこもりと収入・暮らし向きといった経済状況は長期化し、親が退職するといった家庭では起こるが若年では関係は優位差がなかった。親との関係や優等生であるといった親子間の問題も見られなかった。一方で、不登校をはじめ小学校や中学校といった早い段階から孤立をすること、友人を持たないことがひきこもりにつながっていることが判明した。ひきこもりと不登校の関連はよく知られたことだが、孤立は不登校には関連が見られず、ひきこもりにのみ効果を持っていた。また、いじめ体験はひきこもりと弱いながらも関連性が見られるが、不登校とは関連がなかった。一方で、成績不振は不登校との関連が見られたが、ひきこもりとの関連が見られなかった。
ひきこもり現象は家庭よりも学校における逸脱現象と関連しており、中でも不登校との関連は強いがあることが判明した。しかし、その他の逸脱項目との間では不登校とひきこもりの間には差異が見られ、学校における逸脱と雑駁に捕らえるのではなく、一つ一つの現象と関連を明らかにする必要があることが判明した。逸脱論、特に学校に関連した逸脱現象を理論化する上での基礎的な資料の収集ができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

計画では、ひきこもりを対象とした計量的分析を行いその規定要因を探るというものであった。本研究ではその課題を達成することができたため、おおむね順調に進展していると判断した。また、他の逸脱現象である不登校やいじめの規定要因との異なりも把握できたため、逸脱論が伝統的に扱ってこなかった非社会性の逸脱の理論構築を行う基本的データの収集に成功したと考えている。

今後の研究の推進方策

今後は得られたデータをより詳しく分析することが求められる。また、逸脱現象の間の関連について理論化を行うことが課題である。
また、ひきこもりか否かという二値データでは分析をするにあたって情報量が減少し、使用できる統計技法も限られてくるため、本研究では、職業社会的機能の指標であるSOFAS (Social and Occupational Functioning Assessment Scale)を簡便に計算するツールを開発した。SFS-AY(社会的機能尺度思春期・青年期バージョン)と命名し、ドメインフリーで公開しているhttp://sfsay.org/。SOFASは人間の社会的機能を1から100までの数値で連続的に表現するもので、50点以下がひきこもりに相当する。
尺度の作成が最終年度になったため, 本研究では調査で採取した情報から採点することになったが、今後の研究ではひきこもりを二値でとらずにSFS-AYを使いSOFAS値をとることで分析と統計的手法の可能性が広がることが期待される。

報告書

(3件)
  • 2013 実績報告書
  • 2012 実績報告書
  • 2011 実績報告書
  • 研究成果

    (6件)

すべて 2012 2011 その他

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (3件) 図書 (1件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] ひきこもり状態にある大学生数の推定2011

    • 著者名/発表者名
      井出草平、水田一郎、谷口由利子
    • 雑誌名

      Campus Health

      巻: 48(2) ページ: 186-191

    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] 大学生におけるひきこもり現象の量的研究2012

    • 著者名/発表者名
      井出草平
    • 学会等名
      日本社会学会
    • 発表場所
      札幌学院大学
    • 年月日
      2012-11-04
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] ひきこもり経験者の語りにおける「ひきこもり」という語の意味2012

    • 著者名/発表者名
      井出草平
    • 学会等名
      関西社会学会
    • 発表場所
      皇學館大学
    • 年月日
      2012-05-26
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] きこもり支援に関わるNPO等民間支援機関の実態調査結果からの一考察2011

    • 著者名/発表者名
      目良宣子・井出草平
    • 学会等名
      児童・青年精神医学会
    • 発表場所
      徳島県郷土文化会館
    • 年月日
      2011-11-10
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書
  • [図書] 日本の難題をかたづけよう2012

    • 著者名/発表者名
      井出草平
    • 総ページ数
      300
    • 出版者
      光文社
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [備考] SFS-AY 社会的機能尺度 思春期・青年期版

    • URL

      http://sfs-ay.org/

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書

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公開日: 2011-12-12   更新日: 2024-03-26  

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