研究課題/領域番号 |
11J01357
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 沖縄科学技術大学院大学 (2012) 金沢大学 (2011) |
研究代表者 |
岡本 美里 沖縄科学技術大学院大学, 生態・進化学ユニット, 研究員
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 単為生殖 / コカミアリ / トランスクリプトーム解析 / 遺伝子発現 / ウメマツアリ / 幼若ホルモン / 特定外来種 / 性決定メカニズム / 性投資戦略 / 繁殖様式 / 産卵戦略 / 女王アリ / 雌雄間コンフリクト / 性投資配分 |
研究概要 |
中南米を原産地とし、現在世界中に分布を拡大しているコカミアリWasmannia auropunctataは特殊な繁殖様式が発見されており、雌(新女王)と雄が、それぞれ母親と父親のゲノムのみを受け継いで生産される。本種の女王は未交尾では産卵をせず、自身のゲノムのみを受け継いだ雌卵であっても生産しない。本研究では、幼若ホルモン類似体のメトプレンを処女女王に経皮投与し、強制的に未受精卵生産を促した。その結果、産卵開始後まもなく、コロニー内のワーカーによる処女女王への攻撃が観察された。実験では様々な条件下で処女女王にメトプレンを投与し、ワーカーが産卵を開始した処女女王だけを特異的に攻撃することを明らかにした。本種のワーカーは両親のゲノムを受け継いで有性的に生産される。2011年から今年にかけてワーカーの遺伝子発現量を解析した結果によると、父系遺伝子の方が母系遺伝子よりも強く発現していることが明らかになった。このことから、産卵を開始した処女女王に対するワーカーの攻撃性は、父系・母系遺伝子の間にみられる発現量の偏りに起因しているのではないかと考えられる。今後は、ワーカーの遺伝子発現を強制的に変化させ、産卵を行う処女女王に対する攻撃性の変化の有無を確かめる。これらの結果は、雄遺伝子による利己性が、ワーカー個体の行動に影響を与えることを示唆しており、社会性昆虫の行動に影響する血縁度以外の要因として、今後注目されると考えられる。また、本来は単為生殖でしか雌を生産しないと思われていたが、幼若ホルモン類自体により、遺伝的にはワーカーに発生する個体が女王として発生することを明らかにした。これらの結果は、カースト決定に影響する遺伝子の発現解析を行う上で、大きく役に立つと考えられる。今後は、実験的に誘導された個体のトランスクリプトーム解析を行い、コカミアリにおける、性・カースト決定に関わる遺伝子の探索を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
筆頭著者の投稿論文が無いため
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今後の研究の推進方策 |
これまでは、生態学的データに基づいてウメマツアリの繁殖戦略を研究していたが、今後はさらに他の種にも枠を広げ、繁殖戦略に関わる遺伝的要因にも注目する。
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