研究概要 |
カーボンナノチューブ(CNT)といくつかの固体(Pt,SiO_2,Au)との間の界面熱抵抗を計測することで界面熱抵抗の物質依存性を探求した.計測にあたり,SEMの長時間の実験に伴う表面汚染の影響をなくすために,光学顕微鏡を真空装置に組み込んだ新たな実験装置を作製して界面熱抵抗計測結果を得ることができた.また過去に計測したCNTとAu間の界面熱抵抗結果を併せて比較したところ,今回のCNTと固体間(Pt,SiO_2,Au)のように分子間力が支配している界面では,DMMで予測されている界面熱抵抗の物質依存性がないことがわかった. また白金ホットフィルムの温度変化を利用して,CNTと気体間の熱伝達係数を計測する手法を考案した.実験を行うにあたり,熱伝達係数計測を行うための実験装置を構築した.これを用いCNTと気体間(Air,N2,Ar,He)の熱伝達係数を計測し,気体分子運動論による理論結果との比較検討を行った.大気圧下での実験結果は分子運動論による予測とおよそ良い一致を示した. さらにCNTをプローブとして使用したナノスケールの表面温度計測法を開発した.実験には白金ホットフィルムにCNTの片端を接合したセンサを用いる。まずCNTを計測したい試料表面に接触させたときのCNT中を通る熱流がゼロとなるようにホットフィルムの加熱量を変化させることによるフィードバック制御を行い,測定対象とCNTプローブの温度を一致させる.これにより、求めたい試料表面の温度をCNTが接合されているホットフィルム部分の温度から求めることができるようになっており、CNT先端と試料表面間の接触熱抵抗の影響を排除した定量的温度測定が可能になった.まず予備試験の結果から,温度の不確かさを含めて誤差は1.0K以下であることを確認し,表面温度測定に有効であることを証明した.さらに,Pt薄膜のラインヒータの長手方向とそれに直交する方向の二方向の温度を測定し,ヒータ上およびヒータ近傍の温度分布を捉えることができた.
|