国際リニアコライダーの実現に向けて、高エネルギー加速器研究機構のAccelerator Test Facility2 (ATF2)では、電子ビームを37nmという世界最小のサイズまで収束させることを予定している。本研究の目的は、レーザーの干渉縞を用いたビームサイズモニター(通称新竹モニタ)の原理を用い、この極小電子ビームサイズを測定するモニターを開発することであった。私の研究成果は、ATF2において、電子ビームの研究開発と足並みを揃えてビームサイズ測定の技術を確立させ、これまで成功していなかった光学モードでの測定を成功させ、実用的な測定範囲を広げたことである。 ビームサイズモニターには、測定するサイズに応じて3種類の光学モードが用意されているが、2012年の6月までのビームタイムで、それまで未達成であった2番目に小さいビームサイズに対応した光学モードでの測定に成功し、150nm程度のビームサイズを測定したが、最も小さいビームサイズに対応した光学モードでの測定には至らなかった。夏のビームオフの期間に、私は、ビームサイズの測定において干渉縞と電子ビームの軸の不一致が最も大きな系統誤差要因であることを示し、レーザーの光路をより再現性良く構築するための工学的な改良をおこなった。 結果的に、12月のビームタイムでは全ての光学モードでの測定に成功し、70nmまでのビームサイズ測定を達成した。これらの成果により、ATF2のデザイン値である37nmのビームサイズ測定の実現可能性が示された。
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