研究課題/領域番号 |
11J01790
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 (2012) 筑波大学 (2011) |
研究代表者 |
小山 元道 独立行政法人物質・材料研究機構, 構造材料ユニット, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 高Mnオーステナイト鋼 / マルテンサイト変態 / 双晶変形 / 動的ひずみ時効 / 水素脆化 / 加工硬化 / 早期破断 / 細粒化 / オーステナイト鋼 / 積層欠陥 / 形状記憶効果 / TWIP効果 |
研究概要 |
優れた機械的性質、特には均一伸びを得るためには、高い加工硬化能および、延性的な破壊を材料が有する必要がある。前年度は加工硬化に着目し、研究を遂行した。対して本年度は破壊挙動に焦点をあてた。延性的な破壊挙動が得られない場合、すなわち、脆化が引き起こされる条件について明らかとし、各条件における機構を解明した。 本研究対象の合金であるFe-Mn-Cオーステナイト鋼ではεマルテンサイトに関する脆化および水素脆化現象が重要となる。両脆化現象の機構を本年度は解明した。前者はεマルテンサイトと焼鈍双晶界面の交差部に発生する応力集中に起因して起こる。後者の水素脆化は、ひずみ時効および変形双晶の挙動に特に影響を受けることを明らかとした。 これら解明された脆化機構に基づき、脆化抑制のための合金設計指針を提案した。εマルテンサイトに関わる脆化は、εマルテンサイトおよび焼鈍双晶界面の密度を減らすことで抑制可能である。両密度を提言する方法の一例は温間加工による結晶粒微細化である。温間加工による結晶粒の微細化はεマルテンサイトおよび焼鈍双晶界面の密度を著しく低減し、その結果、脆化現象が抑制された。 水素脆化の抑制にはAlの添加が有効であることが知られているが、その理由は不明であった。本研究により、Alはひずみ時効および変形双晶を抑制し、その結果、水素脆化が抑制されることが明らかとなった。 本研究の目的は加工硬化および脆化現象の挙動および機構を明らかとし、Fe-Mn-Cオーステナイト鋼の設計指針を確立することである。前年度研究成果および上記結果により、本合金系の加工硬化および脆化現象の大部分が明らかとなり、得られた知見から、良好な機械的性質の鋼の開発にも成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究提案時に予定していた加工硬化および脆化現象の機構解明はほぼ達成された。これより得られた知見により、研究題目となっているFe-Mn-Cオーステナイト鋼の設計指針を提案することに成功した。 当初の予定では水素脆化現象の機構解明は含まれていなかったが、これを含み、脆化の包括的理解がなされた。
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今後の研究の推進方策 |
2012年度が本研究の最終年度であり、本研究課題に関しては終了である。今後は水素脆化に焦点を当てて研究をすすめる。水素脆化研究はこれまでの研究と連続性があるため、今度の研究推進に問題はない。
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