研究課題/領域番号 |
11J02125
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
スポーツ科学
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
尾崎 隼朗 順天堂大学, 大学院・スポーツ健康科学研究科, 特別研究員PD
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 代償性肥大 / AMPK / S6K1 / ERK / mTOR / ランニング / 足底筋 / レジスタンス運動 / 中高齢者 / 低強度 / 筋力トレーニング / 持久性トレーニング / 筋サイズ / 筋力 / 最大酸素摂取量 / コンバインドトレーニング |
研究概要 |
昨年度の研究では、レジスタンストレーニング(RT)と高強度での歩行運動を組み合わせるとRTによる筋肥大効果が抑制される可能性が示唆された。この適応現象のメカニズムを解明するために、本年度の研究ではラット骨格筋への過負荷による細胞内シグナル伝達系の活性化に持久性運動の強度の違いが及ぼす影響について検討した。実験には9週齢のWistar系雄性ラット21匹を用いた。ラットは(1)安静群(7匹)、(2)低強度ランニング群(LOW:7匹)、(3)高強度ランニング群(HIGH:7匹)の3群に分けた。さらにそれぞれの群において、一方の脚をコントロール条件(CON)、他方の脚を過負荷条件(OL)とした。OL脚では腓腹筋の腱を切除し、その4日後に足底筋を摘出した。AMPKαのリン酸化率には群の効果が認められ、速度に応じて上昇がみられた。ERK1/2のリン酸化率には群及び条件の効果が認められ、特にHIGH-OL条件で大きな上昇が確認された。一方で、S6K1のリン酸化率には交互作用が認められ、HIGH-CON条件ではLOW-CON条件よりも有意に高い値を示したが、HIGH-OL条件とLOW-OL条件の間に違いは認められなかった。本研究において、ERK1/2のリン酸化率はLOW-OL条件よりもHIGH-OL条件で高い値を示したものの、mTORの下流に位置するS6K1のリン酸化率に両条件間で違いがみられなかった。すなわち、高強度ランニングで認められたAMPKαの活性化はmTORのリン酸化の抑制を通じてS6K1のリン酸化を抑制したのかもしれない。従って、前年度の研究において示されたRTの筋肥大効果が高強度での歩行運動と組み合わせることによって抑制されるという現象は、高強度持久性運動時のAMPKの活性化によってmTORシグナル伝達経路の活性化が抑制されることで説明できる可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の目的は、ラット骨格筋への過負荷による細胞内シグナル伝達系の活性化に持久性運動における強度の違いが及ぼす影響について検討することであった。研究の結果、大方当初の仮説通り、AMPKの活性化によってmTORの下流に位置するS6K1のリン酸化が抑制される可能性が示唆された。
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今後の研究の推進方策 |
本研究ではレジスタンストレーニング(RT)と高強度での持久性運動を組み合わせた場合には、RTによる筋肥大効果が抑制されること、さらにこの現象は高強度持久性運動によるAMPKαの活性化がmTORシグナル伝達経路の活性化を抑制することで説明できる可能性が確認された。しかし、特にこのメカニズムを検討した本年度の研究では動物実験モデルを用いており、今後はこうした適応現象のメカニズムについてヒトを対象とした実験によってさらに検討していく予定である。
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