研究概要 |
本年度は、日本列島上に設置されているGPS観測網の観測データを基にして、2011年東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9)の直後の地表変動に焦点を絞った研究を行った。まず、2011/3/11に発生した東北地震(日本時間で14:46から約3分間)の直後、東北地方の沿岸に津波の大きなパルスが到来する直前の15:25ごろまでの時間に焦点を絞った。この期間の地表変動は、主として(1)マグニチュード7を超える2つの余震(2)本震破壊端の延長上の領域における断層の余効すべり(3)その他の要因によって生じていると考えられる。Mitsui and Heki (2013, Geophys. J. Int.)では、GPSのデータから(1)の要素を取り除き、(2)を推定した。その結果、東北地震直後の余効すべりは、近隣地域における過去のマグニチュード7~8級地震のものと比べて約1ケタ高速なものであったことがわかった。それについて、断層力学からの解釈を行った。また同時に、当該期間に沿岸へ迫っていた津波の荷重による陸の変形を数値的に計算した。その結果、沿岸での上下変形は最大で1cm程度に達したであろうこと、実際のデータにおいても(精度は不足しているが)同様のシグナルが見られることがわかった。この他、東北地震の表面波の大きな波群が東日本を通り過ぎた直後の時間帯に焦点を当て、GPSの波形記録の中に特徴的な周波数のシグナルが入っていることを見出した(三井・日置, 2013年度測地学会など)。
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