研究課題/領域番号 |
11J02650
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
神経科学一般
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
澤田 雅人 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 成体脳のニューロン新生 / 脳室下帯 / 嗅球 / 介在ニューロン / 細胞移動 / 血管 / ターンオーバー / グリア |
研究概要 |
個体の発生期において、神経系及び血管系の発生メカニズムは多くの点で共通である。一方、成体脳では神経系及び血管系が完成しているが、神経幹細胞から産生される新生ニューロンは血管と相互作用することが報告されており、成体脳における神経血管相互作用の重要性が示唆されている。我々は嗅球ニューロンのターンオーバーが血管近傍で生じることを見いだしたので、嗅球ニューロンのターンオーバーの場所を規定する血管性ニッチの分子基盤を解明することを本研究の目的とした。前年度に、嗅球ニューロンの移動がSema3E-PlexinD1シグナルで制御されることを示唆するデータを得たため、本年度はその分子メカニズムと血管との相互作用について解析した。 1.FACSで分取した細胞種で候補分子の発現をRT-PCR法で確認する。 FACSの代わりに、細胞種特異的な発現を明らかにすることができる免疫染色法で発現パターンを調べた結果、Sema3Eは表層の嗅球介在ニューロンの一部に発現することを明らかにした。 2.shRNAを用いて候補分子をノックダウンする。 PlexinD1のshRNAもしくはcDNAを発現するレンチウィルスを作製し、in vivoにおけるPlexinD1ノックダウン実験および過剰発現実験を行った結果、PlexinD1が新生ニューロンの移動を促進することを明らかにした。次に、Sema3Eが新生ニューロンに与える影響をin vitroで検討した結果、Sema3Eは新生ニューロンの移動形態を制御していることが分かった。この効果はPlexinD1のノックダウンでキャンセルされることも確認した。 3.In vivoイメージング法で候補分子欠損の影響を明らかにする。 二光子顕微鏡を用いてin vivoで新生ニューロンの形態を解析するために、Dcx-GFPマウスを用いた移植法を確立し、固定脳で二光子顕微鏡観察できることを確認した。また、新生ニューロンの定着および細胞死が血管近傍で生じていることを定量的に解析した。 以上より、Sema3E-PlexinD1による新生ニューロンの移動形態の制御が、新生ニューロンの血管近傍での定着の過程に関与する可能性がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
申請者は2年目の課題として設定した3点をおおむね達成した上、分子メカニズムの詳細にまで研究を進展させた。具体的には移動する新生ニューロンの形態におけるSema3Eの効果を明らかにし、PlexinD1のノックダウン実験でSema3E-PlexinD1シグナルの関与を確認した点で、計画以上に進展していると判断した。
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今後の研究の推進方策 |
現在までに明らかにした移動するニューロンの形態制御メカニズムと血管及びグリア細胞との相互作用、定着部位の規定メカニズムについて詳細に解析を進める予定である。二光子顕微鏡を用いた詳細な形態学的解析を推進させることで、生きた動物でニューロンの移動から定着過程がどのように制御されているかを明らかにできると考えている。
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