研究課題/領域番号 |
11J02712
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
東洋史
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
石野 一晴 京都大学, 人文科学研究所, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
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キーワード | 東洋史 / 明清史 / 巡礼 / 民間信仰 / 女性神 / 日中交流史 |
研究概要 |
平成25年度の研究活動は、国内における文献調査とその読み込みを中心に行った。研究成果としては近日刊行予定の論集『仏教がつなぐアジア―王権・信仰・美術―(仮)』に「楊貴妃観音の源流―近世中国における観音菩薩の女性化をめぐって―」を発表した。楊貴妃観音とは京都泉涌寺に伝来する観音像であり、江戸時代にはこの観音目当てに多くの人びとが参詣に訪れたことが知られる。13世紀に中国から日本にもたらされたとされるこの観音像が「楊貴妃」と呼ばれたのは17世紀のことであるが、先行研究によれば、12世紀初頭の中国においてすでに観音の女性化が進んでいたとされる。ならば日中間に海を越えた活発な人的往来のあったこの時期に、日本にもたらされた観音像に女性化の影響が見られないのは何故か。このような問題を明らかにするため、観音の女性化をめぐる議論を改めて見直し、その重要な契機である妙善伝説の流布を分析した。その結果、観音は女性であったという物語は北宋末期に突如として現れ、一時的に広まりを見せたが、日本と盛んな往来があった南宋においてその物語が継承されていたことを積極的に示す史料は存在しておらず、おそらくは忘却されていた可能性が高く、女性化した観音の言説が楊貴妃観音像と同時に日本に伝わった可能性が低いことを明らかにした。女性化した観音をめぐる言説は14世紀前半および16世紀後半以降に集中しており、この時期の文献を網羅的に研究してゆくことが、中国における女性神の展開を理解する鍵となるであろう。
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今後の研究の推進方策 |
(抄録なし)
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