研究課題/領域番号 |
11J02998
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用健康科学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
上村 一貴 名古屋大学, 医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 高齢者 / 転倒 / 姿勢制御 / リハビリテーション / 注意 / 認知機能 / ステップ動作 / 予測的姿勢調節 |
研究概要 |
本研究の主たる目的は、注意負荷を生じる視覚課題がステップ動作時における姿勢調節メカニズムに及ぼす影響を、特に予測的姿勢調節(APA)に着目して明らかにすることにより、動作時の注意・選択の過程に着目した新しいリスク評価法や介入プログラムを開発することである。昨年度、軽度認知機能障害(MCI)を有する高齢者376名を対象とした実験を行った結果、転倒経験のある対象者では、歩行速度などの一般的な運動機能検査や座位姿勢における選択注意課題反応時間には低下がみられないが、立位ステップ動作において、注意負荷が加わった場合に、潜在エラーが生じ、APAが遅延していることが明らかとなった。 この結果から、立位での動作中における注意機能を強化する運動プログラムが、MCI高齢者の転倒予防には重要であることが考えられ、運動中に副次的に認知課題を実施させ、動作時の注意、判断や素早い反応を強化するプログラムを作成し、転倒発生に及ぼす影響を検討するためのRCTを実施した。対象はClinical Dementia Scaleが0.5、あるいは主観的な記憶機能低下を訴える高齢者528名に対してリクルートを行い、PetersenらのMCI判定基準に該当した高齢者89名とした。週2回、1回90分、12か月間の運動教室を実施する介入群44名と、期間中に3回の健康講座を受講するコントロール群45名にランダムに割付を行った。介入開始から6ヵ月後、6~12か月後の各期間における転倒の発生状況を調査し、x^2検定を用いて群間比較を行ったところ有意な差はみられなかった(6ヶ月, 介入群29.5%, コントロール群19.1% ; 6~12か月, 介入群20.5%, コントロール群13.3%)。運動介入群では、屋外でのウォーキングなどを含む運動習慣を新たに開始したことにより、外的環境変化等の危険にさらされやすく、転倒が発生しやすくなった可能性が考えられる。介入期間中における転倒予防効果の発現はみられなかったが、今後は介入終了後の転倒発生を追跡調査し、本研究で開発した特異的エクササイズの転倒予防効果を検証する必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1年間の運動介入試験を期間内に完了することができ、研究成果として、4つの英語論文を執筆し、うち2つは採択発行済みであることから、全体としておおむね順調に進展していると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の展望として、本研究で開発した動作中における注意機能に着目した特異的介入プログラムの頻度および強度が不十分であった可能性が考えられるため、より大きなサンプルサイズで、頻度および強度により群分けを行ったRCTを実施し、転倒予防に有効なプログラムとその至適量・強度について明らかにする必要がある。
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