研究課題/領域番号 |
11J03693
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
代数学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津嶋 貴弘 九州大学, 大学院・数理学研究院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
採択後辞退 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | Stable reduction / Lubin-Tate perfectoid space / local Langlands correspondence / reduction of affinoid / Lubin-Tate曲線 / 安定モデル / 局所ラングランズ対応 / 標数2 |
研究概要 |
hを二以上の整数とする。一般h次元のLT(Lubin-Tate)空間あるいは、LT perfectoid spaceの中に分岐表現を実現するようなaffinoidの族を見つけて、それの標準還元を決定する研究を行った。 最近、Jared Weinsteinは、Lubin-Tate perfectoid spaceを定義し、その整モデルの定義方程式を決定し、その中にあるaffinoidの族を発見した。そして、その還元のコホモロジーGLh(K)の不分岐表現を実現していることを観察している。ここで、不分岐表現とは、LLC(局所ラングランズ対応)の下で、対応するガロワ表現が不分岐h選拡大体のWeil群の指標のinductionとして書ける表現のことである。以下、Kの剰余体の位数をq=p^f(f>0)とかく。LT perfectoid spaceとは、LT空間の成す射影系の極限の完備化で得られる形式スキームに付随する空間の生成ファイバーとして定義されるadic空間のことである。還元を計算する上で、有限のLT空間よりもLT perfectoid spaceを考えるメリットとしては、空間を被約化するステップが簡単になることと、還元へのヴェイユ群W-K,GL_h(K),不変量が1/hのK上のcentral division algebra D^{\times}の作用が直接的に計算できる、ということにあると思われる。今年度、私はLT perfectoid spaceの中に、GL_h(K)の導手指数がh+1の分岐表現を実現するようなaffinoidを見つけ、その還元を決定した。これは、h次元のアフィン超曲面になっている。これまでの計算で、(p,h)=1の場合にはあるアフィン超曲面がaffinoidの還元として現れることがわかった。これへのW_K,D^{\times},GL_h(K)の作用を決定し、どのような表現が実現されているかを研究した。その結果(p,h)=1の場合、出てくるガロワ表現はessentially tame(Bushnell-Henniartがtype理論に基づいて詳しく研究している。)というクラスの表現であり、比較的理解しやすい構造をしていることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究は有限レベルでのLubin-Tate空間の中でそのコホモロジーが局所ラングランズ対応を実現しているものを見つけ、その還元を計算することを目標として推進してきたが、Jared WeinsteinのLubin-Tate perfectoid spaceの理論により、リミットを取った空間で研究を行ったほうが効率的であることがわかり、これを使ってこれまで曲線の場合に行った研究を一気に高次元化することに成功した。これは、想定していなかったことであり、計画以上に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
上記研究実績の内容で述べたように、(p,h)=1の場合には導手h+1の分岐表現に関してその幾何的実現であるaffinoidの解析はかなり進んだ。pがhを割っている場合には局所ラングランズ対応の明示的対応は知られていないので、この場合に幾何的実現を行うことが望ましい。該当するaffinoidの還元は計算できつつあるが、そのコホモロジーの解析を今後主に研究する必要があると考えている。またより大きい導手を持つ分岐表現の幾何的実現をしているaffinoidとその還元がどうなっているかを理解することも今後の大きな課題である。
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