研究課題/領域番号 |
11J03702
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用薬理学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
狭間 啓佑 大阪大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
2013年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | PACAP / microRNA / 精神疾患 / 繰り返し社会的敗北ストレス / うつ病 / 心的外傷後ストレス障害 / 遺伝子-環境因子の相互作用 / アレイ解析 / 5-HT2 / 大脳皮質体性感覚野 / in situ hybridization / 架橋型DNA / 慢性社会的敗北ストレス |
研究概要 |
精神疾患の発症メカニズムに即した説であるtwo-hit仮説は、遺伝的要因を含む脆弱性に加えて、環境的要因を含む様々な後天的な要因により発症するという遺伝子-環境因子の相互作用仮説であり、その機構には、非コードRNA、エピジェネシス等が関わっていると想定されている。本研究は、精神機能に関わる神経ペプチドPACAPに着目し、遺伝子-環現因子の相互作用による精神疾患の発症メカニズムを探ることを目的とし、本年度は以下の結果を得た。 1. うつ病や心的外傷後ストレス障害の有望な動物モデルと考えられている繰り返し社会的敗北ストレスを負荷されたマウスが、うつ病様行動異常を示すストレス感受性群と示さないストレス耐性群の2群に分かれることを、既報と同様に確認した。次いで、対照群、ストレス感受性群およびストレス耐性群のマウス個体の脳領域からmRNAを抽出し、PACAPとその受容体であるPAC1受容体、VPAC1受容体、VPAC2受容体のmRNA量をreal-time PCR法を用いて解析した。その結果、ストレス感受性群の大脳皮質前頭前野においてPACAP mRNAが特異的に減少していることを見出した。また、繰り返し社会的敗北ストレスを負荷した後、ストレス感受性群となったマウスに、抗うつ薬であるfluoxetineを28日間投与した。その結果、ストレス感受性群が示す社会性行動の低下の改善とともに、大脳皮質前頭前野でPACAPmRNA量が上昇することを見出した。 2. 非コードRNAの一種であるmicroRNAを組織化学的に解析するため、統合失調症様の症状を引き起こすことが知られているMK-801を投与した際のmicroRNAをin situ hybridization法により解析した。その結果、MK-801投与後の視床下部室傍核においてmiR-100のシグナルが増加し、miR-181aのシグナルが減少することを見出した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
うつ病や心的外傷後ストレス障害の有望な動物モデルと考えられている繰り返し社会的敗北ストレスモデルを用い、大脳皮質前頭前野におけるPACAPシグナルが情動障害発症に関与する可能性を見出した。また、架橋型DNAプローブを用いたin situ hybridization法により、MK-801投与後に発現変動するmicroRNAを検出した。
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今後の研究の推進方策 |
1. ストレス脆弱性群の大脳皮質前頭前野でPACAPを過剰発現させた際の社会性行動を評価することにより、大脳皮質前頭前野のPACAPシグナルが繰り返し社会的敗北ストレスによる行動異常の発現に影響を与えているか解析する。 2. MK-801投与後に抗精神病薬を投与した際のmicroRNAをin situ hybridization法を用いて解析することで、今回捉えたシグナル変化が異常行動に関連するものか評価する。
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