研究課題/領域番号 |
11J03743
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
数理物理・物性基礎(理論)
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研究機関 | 上智大学 |
研究代表者 |
小林 浩二 上智大学, 理工学部, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | トポロジカル絶縁体 / 量子輸送現象 / アンダーソン局在 / メゾスコピック系 |
研究概要 |
Wilson-Dirac型のハミルトニアンにランダムポテンシャルを加えた強束縛模型を用いて、乱れのある3次元Z_2トポロジカル絶縁体の輸送特性を調べた。特に、スラブ形状で転送行列法を用いて2端子伝導度とリアプノフ指数を計算することで、strong及びweakトポロジカル絶縁相における伝導度の量子化(ただし系の幅が小さい場合)、及び極端に小さなリアプノフ指数がある特定の個数だけ現れる、といった特徴的な輸送現象を見出した。またこれらの性質とバルク形状における伝導度ピークの出現から、乱れがある場合の3次元トポロジカル絶縁体の相図を得た。この相図はstrong相、weak相の両方を含んでいるが、乱れが強くなるにつれてstrong/weak相境界がstrong相側にシフトする、という振る舞いが本研究において初めて具体的に確かめられた。さらに、weak相においてはstrong相と異なり、乱れが強い場合にのみ伝導度のシステムサイズ依存性が負に転じる領域(DWTI領域)が存在することが明らかになった。これは、最近提案されたweak相の乱れに対する安定性を具体的に裏付けると共に、strong相との相違を如実に示す大変興味深い結果である。 トポロジカル絶縁体は非常に活発に研究が行われているトピックだが、乱れの効果に注目した先行研究の大半は解析的な計算に基づいたものであり、数値的な研究もトポロジカル絶縁体表面に現れる2次元表面状態のみを議論しているものが多い。乱れのある3次元の格子模型を用いて詳細な数値計算を行い、乱れがトポロジカル絶縁体の伝導現象に与える効果の全体像を具体的に示したことは非常に有意義である。また3次元系での伝導度計算から相図決定に至る手法を確立したことで、より応用的な研究の可能性が拓かれた。今後同様の手法を用いることで、研究のさらなる発展が期待される。
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