研究課題/領域番号 |
11J03835
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
内分泌学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
永野 秀和 千葉大学, 大学院・医学研究院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 転写因子 / p53 / エネルギー代謝調節 / 癌抑制機能 |
研究概要 |
糖尿病や肥満などの生活習慣病と癌における共通の分子機構に着目し、RNA-seqを用いたゲノムワイド解析から細胞内代謝調節関連p53下流遺伝子探索を行った。ヒト脂肪細胞のRNA-seqにおいて、アドリアマイシンでDNA傷害を与え、2倍以上の発現上昇を認めた遺伝子は572遺伝子であった。これらの遺伝子群に対し、Gene Ontology Termを用いたpathway解析から、脂質代謝、リポタンパク代謝、核酸代謝、アミノ酸代謝など様々な代謝経路に関わる遺伝子群の有意な発現上昇を認めた。中でも、核酸代謝酵素との関連が示唆されるdihydropyrimidinase-like4(DPYSL4)に注目し、機能解析を行った。脂肪細胞および大腸癌細胞株HCT116において、DPYSL4をノックダウンさせるとATP産生・酸素消費の低下とNAD+/NADHの増加を認めた。一方、LentMrusを用いたDPYSL4の過剰発現ではATP産生・酸素消費量の増加とNAD+/NADHの低下を生じ、好気的回路を介したエネルギー調節作用が示唆された。また、癌抑制機能を検討するために、in vivoでの腫瘍形成能に及ぼす効果を検討した。DPYSL4を強制発現させた肺癌細胞株H1299をNOD/SCIDマウスに皮下注し、その腫瘍サイズを観察すると有意な腫瘍形成の抑制を認めた。さらに、in vitroにおいてもDPYSL4を過剰発現させたH1299の強制発現でマトリジェル浸潤能は低下し、癌抑制機能を有する可能性が示唆された。以上のことから、癌細胞や正常細胞においてDPYSL4はp53によって発現が調節され、癌抑制機能やエネルギー調節作用を有することから、糖尿病や肥満と癌には共通した分子基盤が関わっている可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代型シークエンサーを用いたRNA-seqの結果から、KEGG・GOTermにおけるpathway解析へと技術展開し、転写因子p53における細胞内代謝制御の新知見を見いだすことができている。さらに、in vivoでの病態モデルにおける癌抑制機能を検討するために、マウスにおける癌浸潤モデルを立ち上げており、ほぼ計画通り進展している。
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