研究概要 |
前年度までに開発した「異なる電流源同士の時間依存関係ダイナミクスを拘束条件として利用する電流源推定法」(以下, 提案法)をGUIベースの電流源推定ソフトウェアの一部に組み込み, シミュレーションデータ・実験データへの適用による推定精度の詳細な検証を行った. また研究成果を, 2件の国際学会(ISBI 2013, OHBM 2013), 1件の国内学会(Neuro 2013), 1件の一般向け研究開発展示(ATRオープンハウス2013)において発表した. 提案法の推定精度は, 電流源間の時間依存関係ダイナミクスを考慮しない従来のアプローチ(以下, 従来法)との比較を通して評価した. 多変量自己回帰(MAR)モデルから生成したシミュレーションデータを用いた解析では, 提案法において, 従来法よりも小さな正規化平方根平均自乗誤差(nRMSE)[推定電流源と推定MAR係数について]と, 大きなAUC[推定MAR係数について]が算出された. また, ニューラルマスモデルから生成したシミュレーションデータを用いた解析においても, 従来法に比べ, 推定電流源と(推定MAR係数から求まる)推定機能ネットワークに対して, よりよい定量評価値が提案法より得られた. 顔画像視覚刺激提示時に取得された実験データを用いた解析では, 従来法に比べ, より高い被験者間一致性をもって後頭皮質から側頭皮質にかけての活動と腹側視覚経路に対応する機能ネットワークが提案法において推定された. 以上の, シミュレーションデータ・実験データを用いた提案法の推定精度に対する詳細な検証を原著論文としてまとめ, 国際誌NeuroImageに投稿した. 平成25年度末現在, 査読者のコメントを受けて論文の改訂とコメントに対する返答の作成に取り組んでいる段階にあり, 平成26年度初頭にはこれらを提出できるものと考えている.
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