研究課題
特別研究員奨励費
本研究ではアーキアの未知の代謝に着目し、ゲノム情報を利用して新規代謝経路の解明に努めてきた。特に超好熱性アーキアThermococcus kodakarensisの中央代謝の一つであるアミノ酸異化代謝についてより深い理解を目指した。本代謝は3段階の反応で行われる。まず初段階のアミノ基の酸化反応を触媒するamino acid dehydrogenase活性を細胞抽出液を用いて検討したところ、Gluに対する高い活性とAla,Val,Gln,Cys,Thrに対する弱い活性が検出された。一方ゲノム情報からはglutamate dehydrogenase (GDH)のみ存在が推定されていた。そこでGDH遺伝子を破壊したところ、Thr以外のアミノ酸に対する活性が検出されず、これらがGDHによるものであったことが明らかとなった。さらにアミノ酸のみに依存した生育条件ではGDH破壊株は全く生育せず、GDHが全ての異化代謝されるアミノ酸の初期酸化を担っていることが明らかとなった。またGDH破壊株はpyruvateを添加した培地では通常通り生育した。この時培養液のアミノ酸および対応する有機酸を定量すると、宿主株よりもアミノ酸全体の分解がより進んでいた。つまりpyruvateのような2-オキソ酸が豊富に存在する時、GDHはアミノ酸の異化代謝を全体的に抑える役割を持っていることが明らかとなった。次にGluの異化代謝の2,3段階目について遺伝学的解析を行った。ゲノム上にそれぞれ5つ存在するホモログ遺伝子のうち、生化学的解析により同定されていた2-oxoglutarate : ferredoxin oxidoreductaseおよびsuccinyl-CoA synthetaseのみがGluの異化代謝に寄与していることを破壊株の生育の観察と培地中のアミノ酸・有機酸の定量により明らかにした。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 6件)
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