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アリ類の長期間にわたる大量の精子貯蔵メカニズムとその進化の解明

研究課題

研究課題/領域番号 11J03964
研究種目

特別研究員奨励費

配分区分補助金
応募区分国内
研究分野 進化生物学
研究機関琉球大学

研究代表者

後藤 彩子  琉球大学, 農学部, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2011 – 2013
研究課題ステータス 完了 (2013年度)
配分額 *注記
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2013年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
キーワード社会性昆虫 / 受精嚢 / 精子貯蔵
研究概要

本研究では、アリ科女王が長期間(多くの種で10年以上)、大量の精子を貯蔵できるメカニズムを解明することを目的としており、メスの精子貯蔵器官である受精嚢の機能に着目している。
昨年度の研究により、精子貯蔵期間が数日から数か月の昆虫種では、受精嚢内で精子は運動していたが、1年以上である社会性膜翅目昆虫では運動していないことが明らかとなった。これらのことから、長期間の精子貯蔵に受精嚢内の精子を不動化させることが重要であることが示唆された。アリ科女王の受精嚢内精子の運動に影響する因子を調べるために、キイロシリアゲアリ(Crematogaster osakensts)女王の貯蔵精子をさまざまな溶液にさらし、その運動を観察した。その結果、イオンの種類やpHは運動に影響しなかったが、高浸透圧溶液では精子の動きが制御された。しかし、受精嚢内液の浸透圧を測定したところ、予想より高くないという結果が得られた。現在は、これらの結果を踏まえ、これらの他の精子運動制御に寄与する因子の候補を探っている。具体的には、粘度が高く、精子の運動を物理的に制御する物質や、精子不動化タンパクなどを候補として考えている。
また、昨年度までに、次世代シークエンサーを用い、体全体と比較して、受精嚢で多く発現している遺伝子を網羅的に探索した。今年度は、受精嚢で高く発現している遺伝子のうち、108遺伝子の発現部位をin situ hybridizationにより調べたところ、これらの遺伝子が確かに受精嚢で発現が多いことを確認した。ほとんどの遺伝子が受精嚢だけではなく、卵巣や中腸などの活動的な器官でも発現していたが、その中でも、受精嚢のみで発現している遺伝子を11個発見することができた。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

精子の運動制御に関わる因子として、当初浸透圧が候補として挙げられた。しかし、微量の液体の浸透圧を測定できる装置を保有する研究室を探すまでに時間がかかってしまい、測定結果も予想とは異なるものだった。
一方、受精嚢で高発現する遺伝子の発現部位の同定は、おおむね順調に進展したと評価している。

今後の研究の推進方策

精子の運動制御に関わる因子として、浸透圧以外の候補を探っている。次世代シークエンサーの解析により、受精嚢でコラーゲン遺伝子が高発現しでいることが分かっており、その精子運動への寄与を探る予定である。
また、受精嚢特異的発現遺伝子の機能を解析するために、RNA干渉法や、精子培養系を確立し、これらのタンパク質との共培養実験をおこない、精子貯蔵に関与する遺伝子を特定する予定である。

報告書

(3件)
  • 2013 実績報告書
  • 2012 実績報告書
  • 2011 実績報告書
  • 研究成果

    (5件)

すべて 2014 2013 2012

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (3件)

  • [雑誌論文] Vestigial spermatheca morphology in honeybee workers, Apis ceran a and A. mellifera from Japan2013

    • 著者名/発表者名
      Gotoh, A. , Ito, F. and Billen, J.
    • 雑誌名

      Apidologie

      巻: 44 号: 2 ページ: 133-143

    • DOI

      10.1007/s13592-012-0165-6

    • 関連する報告書
      2013 実績報告書 2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [雑誌論文] Histological study of spermatheca in three thelytokous parthenogenetic ant species, Pristomyrmex punctatus, Pyrarnica membranifera and Monomorium triviale (Hymenoptera: Formicidae)2012

    • 著者名/発表者名
      Gotoh, A. , Billen, J. ,Tsuji, K., Sasaki. T. and Ito, F.
    • 雑誌名

      Acta Zoologica

      巻: 93 号: 2 ページ: 200-207

    • DOI

      10.1111/j.1463-6395.2010.00498.x

    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
    • 査読あり
  • [学会発表] アリ科女王の受精嚢内精子の運動とその制御因子の探索2014

    • 著者名/発表者名
      後藤彩子、野並浩、春日純、中島大賢、小林悟、伊藤文紀、辻和希
    • 学会等名
      第58回日本応用動物昆虫学会
    • 発表場所
      高知大学(高知県)
    • 関連する報告書
      2013 実績報告書
  • [学会発表] アリ科女王の長期間の精子貯蔵に関与する遺伝子の探索2013

    • 著者名/発表者名
      後藤彩子、緒方法親、重信秀治、小林悟、伊藤文紀、辻和希
    • 学会等名
      第57回日本応用動物昆虫学会
    • 発表場所
      日本大学(神奈川県)
    • 関連する報告書
      2012 実績報告書
  • [学会発表] ミツバチ属働きバチの退縮した受精嚢の形態2013

    • 著者名/発表者名
      後藤彩子、Billen Johan、伊藤文紀
    • 学会等名
      第56回日本応用動物昆虫学会
    • 発表場所
      近畿大学(奈良県)
    • 関連する報告書
      2011 実績報告書

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公開日: 2011-12-12   更新日: 2024-03-26  

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