研究課題/領域番号 |
11J04352
|
研究種目 |
特別研究員奨励費
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
|
研究機関 | 名古屋市立大学 (2012) 早稲田大学 (2011) |
研究代表者 |
玉田 宏美 名古屋市立大学, 大学院・医学研究科, 特別研究員(PD)
|
研究期間 (年度) |
2011 – 2012
|
研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
|
配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
|
キーワード | カハールの介在細胞 / c-Kit / ATP / カルシウムイメージング / Fibroblast-like cells / 漿膜下 / 粘膜下神経叢 / 近位結腸 / モルモット |
研究概要 |
研究課題である、漿膜下カハールの介在細胞(ICC-SS)が分布する組織層について、モルモット近位結腸を用い、Fluo-4によるCa^<2+>イメージングを行った。これらの細胞のうち、AChに反応するものは少なく、主にATPに反応し、著しいCa^<2+>の上昇を示した細胞がほとんどであった。また、ここでのATPの反応については、P2Y receptor、特にP2Y1 receptorを介したものであることも明らかにした。ATPへの顕著な反応を示した細胞は、ICCの特異的マーカーであるc-Kitに対して陰性である一方、vimentinやSK3で標識される細胞と似た形態学的特徴を示した。このことから、これらの細胞はICC-SSではなく、Fibroblast-1ike cells(FLCs)である可能性が示唆された。このように、漿膜下には、P2Y1を介してATPを主たる興奮様式とする、FLCsに代表されるようなinterstitial cellsが存在することを明らかにした。 このことは、研究課題の中で、ICC-SSが伸展受容器として機能した後、ATPの放出によって、周囲の細胞と情報伝達を行うのではないかと提唱していたが、この層の細胞がATPを伝達物質として利用する可能性について支持し得るものと考えている。さらに、1年目に実施した、粘膜下神経叢カハールの介在細胞(ICC-SP)についても、形態学的解析に引き続き取り組み、消化管各部における領域差を解析した。その結果、ICC-SPは、近位結腸で著しく発達していたのに対し、遠位結腸での分布はまばらであり、小腸には分布しないことなどを明らかにした。このICC-SPの分布における差異と、消化管各部位の粘膜面との機能に注目し、ICC-SPの機能の推定に取り組んでいる。また、ICC-SSと同様、近位結腸で特に発達しているICC-SPを理解することで、水分・電解質吸収を主に行う部分である近位結腸の運動調節機構の解明につながり、臨床への応用も期待できる。ICC-SSとICC-SPのいずれも、未だほとんど研究がなされていない、ICCの新規サブタイプであり、今後のICC研究に新たな展開を示しうるものと考えている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究目的のうち、研究対象とする細胞が分布する組織層の興奮伝達の様式について、生理学的に明らかにし、推定機能を支持しうる所見を得ることができた。また、筋層外ICCの形態学的解析について、さらに解析を深め、これら新規サブタイプの理解へつなげることが期待できる。以上の内容は、2本の雑誌論文への投稿中、および準備中である。
|