研究課題/領域番号 |
11J04581
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
応用薬理学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
小森 久和 熊本大学, 薬学教育部, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
700千円 (直接経費: 700千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | α1-酸性糖タンパク質 / CD163 / 動脈硬化 / 溶血 / 酸化ストレス |
研究概要 |
溶血によって血中に遊離したhemoglobin(Hb)は単球及びマクロファージに発現するCD163に結合して取り込まれる。これまでに、α1-酸性糖タンパク質(AGP)がCD163自身の発現を誘導することで遊離Hbの排除を促進することを明らかにしてきた。そこで、遊離Hbに起因する酸化ストレスが病態の進展に大きく関与しているアテローム性動脈硬化に着目した。 まず、通常マウスでAGPが遊離Hbに起因する酸化ストレスを抑制することを評価するために、AGPを投与してCD163が誘導されることを確認し、さらに溶血モデルマウスにおいて、AGPが血中酸化ストレスを抑制することが明らかになった。続いて、この酸化ストレスの抑制がCD163誘導に起因するものであることを評価した。これまでの検討でAGPがCD163を誘導する受容体としてTLR4が示されてきたことから、TLR4-遺伝子変異マウス(C3H/HeJ)を用いて溶血モデルを作成した。まず、AGPを投与した際のC3H/HeJマウスでのCD163の発現誘導を評価したところ、コントロールマウス(C3H/HeN)ではAGPによってCD163が誘導されたのに対し、C3H/HeJマウスではAGP投与によってほとんど誘導されないことが明らかになった。そして、それらのマウスにおいて溶血を引き起こしたところ、先の検討と同様にC3H/HeNではAGPによって血中酸化ストレスが抑制されたのに対し、C3H/HeJマウスでは酸化ストレスが抑制されなかった。これらの結果より、AGPはTLR4の活性化を介してCD163を誘導することで、溶血によって遊離したHbに起因する酸化ストレスを抑制することが示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで本研究課題に関して細胞実験で明らかにしてきたことに加え、本年度では特に動物実験による評価を勢力的に行い、次年度に予定する動脈硬化モデルマウスを用いた検討に向けて、期待通りの基礎資料を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
通常マウスにおいて、AGPがCD163の誘導を介して溶血に起因する酸化ストレスを抑制することが示されたことから、今後は動脈硬化モデル(ApoE KO)マウスにAGPを投与し、心血管組織を採取し、アテローム塊の進展を抑制できるか評価する。また、TLR4変異マウスあるいはCD163 KOとApoE KOのダブルノックアウトを行い、アテローム形成におけるAGPの影響を評価する予定である。
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