研究課題/領域番号 |
11J04601
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
考古学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
高椋 浩史 九州大学, 比較社会文化研究院, 特別研究員(DC2)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 妊娠・出産 / 性差 / 時代変化 / 骨盤 / 頭蓋 / 四肢骨 / 骨産道 / 形質人類学 |
研究概要 |
本研究の目的は、古人骨の形態分析から先史・歴史社会の妊娠・出産の様相を解明することである。具体的には、遺跡から出土する古人骨の女性の骨盤、特に骨盤分解線より下部の骨産道の形態分析を行う。骨産道は胎児の分娩時の通過管であるため、産科学において女性の骨産道形態は胎児を円滑に分娩するための重要な要素として位置づけられている。胎児のサイズよりも骨産道が小さい場合、その胎児は娩出されず、帝王切開を行わなければ胎児あるいは母体に重大な影響を及ぼす。そのため、産科学においては骨産道形態から分娩時のリスクを把握する研究が行われ、骨産道の計測データが数多く蓄積されている。骨産道形態は、遺跡から出土する古人骨についても保存状態が良好であれば計測可能であり、そのデータを現代の臨床データと比較することで、各時代の女性の妊娠・出産の実態を復元することが可能である。そこで、本研究では縄文時代から現代にいたる女性の骨産道形態を分析し、先史・歴史社会の妊娠・出産の様相を解明する 平成24年度は申請した研究をまとめるために、分析対象資料を充実化することを目的として、古人骨資料収蔵機関での調査を行った。昨年度までは、弥生時代以降の資料や日本列島以外の地域の資料を中心に調査を行ってきた。今年度は、縄文時代の人骨資料データを中心に調査を行った。新潟大学医学部における調査では、関東および東北地方の縄文時代の前期から後期にかけての貝塚出土の人骨資料の調査を行った。また、長野県立歴史館では長野県所在の北村遺跡出土の縄文時代人骨の調査を行った。これらの調査によって、縄文時代人骨のデータを充実化することができた。 これまでの調査を基に、6月に福岡市で開催された第5回World Conference of the Society of East Asian ArchaeologyにおいてChildbirth and Ritual-Bioarchaeological approach to collective burial of women and infant-と題して発表した。これは古墳時代の母子合葬例に関して形質人類学的・考古学的観点から検討を加えたものである。また、11月に横浜市の慶応大学日吉キャンパスで開催された第66回日本人類学会大会で、縄文時代から近代に至る骨盤形態の比較と題して発表を行った。これは日本列島における縄文時代から近代にいたる骨盤形態の時代変化について、性差の観点から検討を行ったものである。 また、今年度は博士後期課程の最終学年として、博士論文を執筆した。博士学位論文は「日本列島における古人骨形態の性差とその変容に関する人類学的研究」と題したもので、2013年3月に学位申請が正式に認められた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
24年度に観察を予定していた資料に関しては調査を終了しているため。学会での口頭発表も行っており、順調に進展した。
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今後の研究の推進方策 |
論文執筆に必要な資を収集し、今後はこれらの資料を用い論文に纏めていく作業を行う。
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