研究課題/領域番号 |
11J04763
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
地質学
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研究機関 | 独立行政法人海洋研究開発機構 |
研究代表者 |
澤木 佑介 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球内部ダイナミクス領域, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2011年度)
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配分額 *注記 |
900千円 (直接経費: 900千円)
2011年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
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キーワード | 原生代後期 / 化学層序 / 多元素同位体比分析 / 陸上掘削 |
研究概要 |
化石記録から生命は原生代末期からカンブリア紀に急激に進化・多様化した事が知られている。この時代を境に多細胞で硬骨格を持つ生命が出現し始め、現存する全ての動物門が一斉に化石として姿を残すようになった(カンブリア大爆発)。この生命の爆発的進化を起こした原因について、この時代の堆積岩を用いた同位体比測定などから解明が試みられている。生命進化には、当時生命が存在していた海洋組成の変化が密接に関連していた事が予想される。海水組成の変動と生命進化の関連性とその原因の解明は、科学において極めて重要なテーマである。 南中国には原生代末期からカンブリア紀の化石を含んだ地層が連続的に産出するため、この時代の研究に最適な場所である。私たちは2010年度までに南中国の4地域にて15本の掘削試料を採取済であった。今年度は約1ヵ月間の地質調査の中で、三峡地域にて新たに4本の掘削試料の採取場所の選定を行った。これにより、原生代末期から初期オルドビス紀までの堆積岩を掘削試料として保持する事ができた。既に採取済の掘削試料から約1250個の岩石チップを切り出し、現在薄片を作成中である。また、3地域8本の掘削試料から436個の粉末試料を作成した。これについては研究協力者の東京工業大学の学生がC,O同位体比を測定済である。今後この粉末を用いSrなどの同位体比測定を行っていく。 鉄は全ての生命において必須な元素であり、海洋中では生物生産を制限する元素の一つである。古海洋中での鉄に関する情報は鉄を含む鉱物の鉄同位体比から得る事ができる。岩石薄片中に含まれる黄鉄鉱(FeS_2)の鉄同位体比を、fs-LA-MC-ICP-MSを用いて局所分析を行った。その結果、原生代末期からカンブリア紀に至るまで、+0.5‰を超えるような高い鉄同位体比が得られた。これは海洋中に溶存鉄(Fe^<2+>_<aq>)が豊富に存在していた事を意味し、カンブリア大爆発時の海洋で鉄は生物生産を制限する要因では無かった事が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
書類申請時に掲げた3つの研究計画のうち、そのうちの1つ(黄鉄鉱の鉄同位体比の測定)については分析が完了し、既に論文投稿にむけて準備を進めている。残る2つの研究計画に関しても予備分析を終え、本分析に入れる段階に達したため、順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
他機関の助教着任のため、今年度にて特別研究員PDの研究期間は終了となってしまったが、可能な限り申請時に計画した研究の完成に尽力する。そのために次の科研費の獲得を目指し、得られた成果を当初の予定通り2年以内に国際誌に投稿し、成果を公表する。
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