研究課題
特別研究員奨励費
本研究は原因遺伝子が未だ特定されていないプラダー・ウィリー症候群(Prader-Willi syndrome : PWS)の発症メカニズム解明に向け、ヒト患者検体の遺伝学的解析からPWSの表現型を規定する遺伝要因の検討を目的に解析を進めている。昨年度までにDNAアレイ解析を実施し78例中21例に1Mb以上の微細コピー数異常を同定している。染色体微細コピー数異常が同定された症例の表現型解析では、PWSの一症状である乳児期筋緊張低下や精神発達遅延など一部共通した表現型と併せ、染色体微細コピー数異常の同定された21例により詳細な表現型解析を行い包括的な論文の作成準備を進めた。またPWSの有力な責任遺伝子の候補である核小体低分子RNAの1つHBII-85の解析法確立に向けた取組みでは、HBI-85が機能するために必要なターゲット遺伝子を探索した。微細コピー数異常の同定された全領域で神経特異的発現に関係する遺伝子の抽出を試みたが、様々な領域に共通しない微細染色体コピー数異常が同定されており共通性を見つける事は出来なかった。さらに本研究では約27%(21/78)に微細コピー数異常を同定し、精神遅滞など一般の体系的な解析報告の10-15%程度の同定より高い頻度で染色体微細コピー数異常が検出されている。よってPWS様表現型は微細染色体異常のハイリスク要因である事が示唆され、臨床遺伝学において重要な情報を発信できた。またPWSと同じく染色体15q11.2を責任領域とする親由来が異なり発症するAngelman症候群(Angelman Syndrome ; AS)で同様のDNAアレイ解析および表現型解析を実施し、33例中4例(約12%)の微細コピー数異常を同定した。ASでの微細コピー数異常症例は、一般的な報告と同じ程度の頻度であった。この結果は今年度の国内外2つの遺伝学会で成果発表を行っている。
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Pediatr Int
巻: (掲載確定)(電子版2012年6月号掲載予定)
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巻: (掲載確定)
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巻: 125 号: 12 ページ: 1282-1285
10.1017/s0022215111002453