配分額 *注記 |
7,500千円 (直接経費: 7,500千円)
2013年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2012年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2011年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
|
研究概要 |
光合成電子伝達系において,フェレドキシン(Fd)は還元力の分配を担っている.Fd依存酵素には水素を生産するヒドロゲナーゼも含まれる.本研究では,FdとFd依存酵素の相互作用面に着目し,複合体結晶構造を初めとする構造生物学的手法によって,Fdからヒドロゲナーゼや窒素同化系酵素への電子分配の構造情報を明らかにすることを目指す. <Chlamydomonas reinhardtii由来のフェレドキシン> 緑藻C.reinhardtii由来のフェレドキシンの大腸菌発現系を構築し,大量調製した.結晶化,X線回折測定(SPring-8),構造計算を進めて,1.4A分解能の高分解能結晶構造解析に成功した. <Synechocystis sp.PCC6803由来のフェレドキシンとそのGa置換体> シアノバクテリアSynechocystis sp.PCC6803由来のフェレドキシンの大量調製した.変性とリフォールディングによって,Ga置換体とその結晶化,X線回折測定(SPring-8),構造計算を進めて,1.6Å分解能の高分解能結晶構造解析に成功した. <Chlamydomonas reinhardtii由来のヒドロゲナーゼ> 昨年度に確立したクロストリジウムの嫌気培養スケールを拡大し,精製手法の最適化によって試料の大量調製に成功した.嫌気条件下で結晶化条件をスクリーニングし,得られた結晶のX線回折を測定,構造計算を経て,構造解析に成功した.予想に反して,得られた構造は金属クラスターが不完全な構造だったことから,精製試料に含まれる非活性な酵素が結晶化したと考えられる. そこで,活性型酵素を分離するために精製系を見直すとともに,活性型酵素の調製法を習得するためにドイツ・ルール大学ボーフムを再訪した.現在,帰国して活性型酵素の調製を試みている
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たる課題であるヒドロゲナーゼについて,結晶を得ることができた.しかしながら,得られた構造はすでに報告されている非活性型構造だった(Mulder et al., Natirre, 2010).現在,活性型酵素の結晶化に取り組んでいる.上記の通り,フェレドキシンの高分解能構造解析に成功した.その他の関連タンパク質の結晶構造解析も順調である.
|
今後の研究の推進方策 |
2012年度,非活性型ヒドロゲナーゼ(HydA)とフェレドキシン(Fd)の個々の構造解析に成功した,今後は,非活性型HydA1とFdの複合体状態で結晶を作製し,結晶構造解析を目指す.現在の調製系では,活性型と非活性型が混在している.クロマトグラムや結晶化スクリーニングによって,活性型HydA1を単離する方法を模索している. 最近,いくつかのグループによって,大腸菌発現系による活性型HydA1の発現・調製が報告されてきている(Yacoby et al., PLOS ONE, 2012).大腸菌発現系を使えばより高純度・高収量の試料調製が期待できる.現在,大腸菌調製系の導入を進めている.高い割合で活性型HydA1を調製できれば,HydA1単体と活性型HydA1とFdの複合体のそれぞれの結晶構造解析を目指す.
|