研究課題/領域番号 |
11J05357
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
文化人類学・民俗学
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研究機関 | 国立民族学博物館 |
研究代表者 |
梶丸 岳 国立民族学博物館, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2013
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研究課題ステータス |
完了 (2013年度)
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配分額 *注記 |
2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
2013年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
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キーワード | 歌掛け / 中国・ラオス・日本 / 民族誌 / 言語人類学 / 中国:ラオス:日本 |
研究概要 |
本研究の目的は、ラオスのサムヌアで歌われている歌掛け「カップ・サムヌア」と、日本の秋田県で歌われている歌掛け「掛唄」の民族誌記述を行い、先行研究のさらなる分析を合わせて、歌掛けの一般的特質を明らかにすることである。本研究の意義はこれまで注目されてこなかった歌掛けについて、言語人類学的方法論に基づいて個別の事例を包括的に記述し、それらを総合することでその特徴を明らかにし、さらにその文化的価値を明らかにして人間のコミュニケーションや文化の可能性と豊かさの一端を新たに示すことにある。本年度はラオスにおいて昨年度収録した「カップ・サムヌア」の書き起こしと日本語訳を進め、その内部のやりとりの詳細を初めて明らかにした。また現地の歌い手の家に滞在し、その生活をつぶさに観察すること、そして歌い手への歌詞や歌い方などについてのインタビューを通して、カップ・サムヌアの歌詞が持つ社会的・歴史的文脈や掛け合いの具体的な技法、そしてこの歌掛け自身を取り巻く社会的状況について明らかにした。また今後の課題として、サムヌアだけでなく首都ヴィエンチャンでの調査を行なう必要があることも見えてきた。秋田の掛唄については今年初めて熊野神社で行なわれる掛唄大会に参加し、これまで調査してきた金澤八幡宮の大会との違いと共通点を明らかにし、掛唄の全体的状況について理解を深めることが出来た。こうした研究成果を学会発表や論文と言ったかたちでまとめるとともに、先行研究である中国貴州省の歌掛け「山歌」を含めた形で比較を行ない、一般歌掛け論の構築を推し進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
カップ・サムヌアの調査は極めて順調に進んだものの、そこで得た資料の分析はまだ徹底して行なったとはいえない。だが掛唄については学会発表や論文の形で研究成果を発表してきており、順調な進展が見られた。これらの歌掛け間の比較から、歌掛けの一般的な特質に迫ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
まずはこれまでに得たカップ・サムヌアの資料を徹底的に分析し、基本的な情報を整理してボアパン県におけるカップ・サムヌアの民族誌をまとめる。さらに、今回の調査でヴィエンチャンにおけるカップ・サムヌアの動向はカップ・サムヌアを知るうえで欠かせないことが明らかになっており、本研究の次のステップとしてこれを調査することが求められる。秋田の掛唄についても大会に引き続き参加しながら、掛唄の変化を見つめていく必要がある。こうした継続的な調査に立脚したうえで、一般歌掛け論をさらに展開していくつもりである。
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