研究課題
特別研究員奨励費
本年度は、引き続き、自己免疫疾患のマウスモデルである実験的自己免疫性脳脊髄炎(Experimental autoimmune encephalomyelitis, EAE)モデルと腸内細菌叢の関係について調べている。ミエリン乏突起神経膠細胞糖タンパク質(MOG)と完全フロイントアジュバント(CFA)をエマルジョン化したものを皮下に1回(day0)、百日咳毒素(PTX)をMOG/CFAと同じ日(day0)とその2日後(day2)の2回腹腔に注射し、EAE発症誘導によるマウス糞便中水溶性代謝物の経時的変動を核磁気共鳴(Nuclear Magnetic Resonance: NMR)法を用いて解析した。得られた2DJスペクトルを一次元データに変換後、0.04 ppm毎に分割し、化学シフトとシグナルの強度を数値化した後に主成分分析を行った。その結果、day 6およびday 10でMOG/PTXグループの代謝物はPC2の負方向に変動していることが明らかとなった。さらに、ローディングプロットの結果から、1.92 ppmにピークをもつ代謝物がPC2の正方向に強く寄与していることが示され、この代謝物がEAE発症誘導によるマウス糞便中水溶性代謝物の経時的変動を特徴付ける因子であることが分かった。SpinAssignソフトウェアを用いて代謝物の同定を試みた結果、このピーク(1.92 ppm)は酢酸であることが明らかとなった。以上、EAE発症誘導による糞便中代謝物の経時的変動の解析結果から、MOG/PTXグループは、EAE発症誘導により腸内の酢酸濃度が減少することが示唆された。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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Proc Nat1 Acad Sci U S A
巻: 49 号: 49 ページ: 19884-19889
10.1073/pnas.1320145110
PNAS
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