研究概要 |
現在までに、800以上の系外惑星が検出されており、Kepler宇宙望遠鏡によってさらに数千に及ぶ系外惑星候補天体が発表されている。これらの発見による統計的な理解によって、中心星から比較的近傍の惑星についての性質はよく知られるようになった。しかし、これは太陽と似た特徴(質量・有効温度)を持つ恒星(太陽型星)についての理解である。太陽よりも1.5倍以上重い恒星については、主系列段階では高速自転や高温であることによって観測困難な条件となるため、これらの恒星の進化が進んだ段階である、準拠星・巨星と呼ばれる段階になって初めて高精度な観測が可能となる。巨星周りの惑星探索の結果によれば、準拠星・巨星周りでは軌道長半径が0.6AU以内の惑星は極めて稀少で、太陽型星における惑星の分布とは質量にして1.5太陽質量を境に明らかに傾向が変わることが分かっている。これが恒星進化による後天的なものか、あるいは形成過程段階で決まるのかは自明ではなく、これを明らかにすることは中心星の有効温度の違いによる惑星形成・及び円盤進化を理解する上で極めて重要となる。我々は、中心星金属量が比較的多い主系列星は、同じ有効温度でも質量が0.2-0.4太陽質量程度大きくなることに着目し、1.5太陽質量程度の高金属量太陽型主系列星周りの惑星探索を4年間継続して行ってきた。その結果、1.4,1.5太陽質量の恒星周りにそれぞれ2個,1個の系外惑星を検出した。これらの惑星系は、主系列段階としては最も重い中心星質量を持つ系である。検出された惑星は1AU以遠にあることから、1.5太陽質量付近で傾向が大きく変わることを支持している。従って現在までの結果では、惑星形成段階の中心星の有効温度の違いによる惑星形成の傾向に差異は見られないと考えられる。ただし、1個の惑星を持つ系は、より高精度な追観測を行えば10日程度のタイムスケールの短周期惑星が検出できる可能性がある。この惑星の存在が確かであれば、現在までに分かったことと大きく異なる傾向が見られるため、今後も継続してこの惑星系を追観測する必要があるだろう。
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