研究課題/領域番号 |
11J05649
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研究種目 |
特別研究員奨励費
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 国内 |
研究分野 |
生態・環境
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
深谷 肇一 北海道大学, 大学院・環境科学院, 特別研究員(PD)
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研究期間 (年度) |
2011 – 2012
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研究課題ステータス |
完了 (2012年度)
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配分額 *注記 |
1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2012年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2011年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 個体群動態 / 群集動態 / 種間相互作用 / 岩礁潮間帯 / 観測誤差 / 時系列モデリング / ベイズ統計 / フジツボ / 分布域 |
研究概要 |
昨年度の研究では、北海道東部太平洋沿岸の25サイトで10年間、平均潮位を中心に縦1mの潮位幅で本種の被度の変動が調査されたデータを用いた解析により、個体群は分布域の中央部にあたる平均潮位付近で最も変動性が低く、逆に分布域の周辺部である潮間帯上部および下部では変動性が高いことが明らかとなった。この潮位に沿った個体群動態の変化のメカニズムを明らかにするためには群集レベルの相互作用を明らかにすることが重要と考え、本年度は、本種を含む岩礁潮間帯固着性群集の推移確率行列の推定を試みた。推移確率行列は固着生物群集のダイナミクスを記述するのに有効なパラメータであり、固定された調査点を継続的に調査することにより、種の占有状態の時間変化の頻度をもとにデータからの推定が可能である。ところが近年、調査中に生じる観察誤差が推移確率の推定に決定的なバイアスをもたらす可能性があることが指摘されていた。 そこで本年度は、観察誤差の影響を考慮して推移確率行列を推定するための新しい統計的枠組みの検討を行った。Multistate-occupandy dynamics modelと呼ばれる、調査ユニットが持つ離散的な状態の時間変化を表すモデルと、野外調査で生じると考えられる観測過程を考慮した統計モデルを構築し、コンピュータシミュレーションによって生成された架空データによる性能評価と野外で得られた実データへの適用を行った。架空データによる性能評価の結果、新しく構築した枠組みではデータにかなりの観測誤差が含まれている場合でも正確に推移確率行列が推定されることが示された。また野外データを用いた検証では、観測誤差を考慮した新しい方法で得られた群集動態の特性の推定値が、観測誤差を考慮しない従来の方法で得られた推定値と比べて大きく異なるごとが明らかとなり、本研究で提案された新しい枠組みを用いることで野外データを用いた群集動態と種間相互作用の推論が大きく改善されうることが示された。
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