研究課題
特別研究員奨励費
MR-DTIを用いた脳神経線維追跡を行なう際に、関心領域を自動的に設定することで再現性と作業効率の向上を図り、また追跡された線維束の特徴量を評価することで、統合失調症患者の大脳白質病変を定量的に解析することを目的として研究を進めた。解剖学的情報に基づいて標準脳のMRI画像に合わせて作られた脳地図を利用し、関心領域を自動設定する手法を開発した。統合失調症患者14名と健常成人21名の拡散テンソル画像を用い、矢状層を関心領域として神経線維追跡を行なった。線維追跡から求めた指標について統計解析を行なった結果、線維束の異方性の強さFA、線維束の見かけの拡散係数MD、および連続する方向ベクトル間の内積DAにおいて、患者と健常者の有意な違いが見られた。本研究により得られた結果は先行研究を支持するものであり、脳地図を用いた自動関心領域設定手法は神経線維追跡に適していることが示された。また、患者と健常者に有意な違いの見られた指標が、統合失調症を定量的に評価するための指標と成り得ることが示された。さらに、MR-DTIを用いた神経線維追跡手法において、複数の神経線維の交叉部などMR-DTIで拡散の異方性が低下する領域において追跡の精度を向上させることは疾患の特徴を定量的に見出すために重要である。そこで、追跡中に異方性が低下した位置から前方に離れた位置における線維束を探索して、異方性低下部をB-Spline曲線で補間し、補間部分とその前後における線維束の軌跡が持つ曲率および,捩率を最適な追跡結果の評価に用いる方法によって異方性低下に対処する手法を開発した。手法の妥当性を評価するため、神経線維が直線的に、また曲線的に交叉した様子を模した拡散テンソルMRIのシミュレーション画像に対して開発手法を適用した。追跡精度は昨年度の研究における追跡の目的領域到達率と比較し、特に先行手法が苦手としていた曲線的なシミュレーションモデルにおいて最大で45.2%の増加を確認し、線維束交叉部が曲線的な場合において手法の妥当性が示された。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (5件) 備考 (1件)
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