特定の糖タンパク質視覚化を目指した蛍光プローブの開発と検出法の確立

• 研究課題/領域番号: 11J06185
• 研究種目: 特別研究員奨励費
• 配分区分: 補助金
• 応募区分: 国内
• 研究分野: 機能生物化学
• 研究機関: 独立行政法人理化学研究所
• 研究代表者: 芳賀 淑美 独立行政法人理化学研究所, 糖鎖代謝学研究チーム, 特別研究員(PD)
• 研究期間 (年度): 2011 – 2013
• 研究課題ステータス: 完了 (2013年度)
• 配分額: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円); 2013年度: 800千円 (直接経費: 800千円); 2012年度: 800千円 (直接経費: 800千円); 2011年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
• キーワード: 糖鎖 / イメージング / FRET / アジド化合物 / グルコーストランスポーター / クリック反応 / GFP

研究概要

糖鎖修飾はタンパク質の主要な翻訳後修飾のひとつであり、様々な疾患で糖鎖構造の変化がタンパク質の機能変異を引き起こしている例が報告されている。しかし、糖鎖の機能解析は難しく、糖鎖構造の差異が特定のタンパク質の機能に及ぼす影響や病態との因果関係を明らかにすることは既存の方法では困難であるために、多くの分子機構は依然として不明である。そこで簡便かつ特異性の高い糖タンパク質イメージングツールを開発し、糖鎖が生体に及ぼす影響を生細胞において明らかにすることを目的とし、研究を行った。
開発した手法は、目的のタンパク質に融合させた蛍光物質と、糖鎖に結合させた蛍光物質観でFRET(蛍光共鳴エネルギー移動)を観察することで、特定の糖タンパク質における糖鎖付加状態の差異を明らかにするものである。本年度は、昨年度に引き続き、生細胞での特定の糖鎖をもつ標的タンパク質の細胞内動態解析を行った。HeLa細胞に、GFPを融合させたグルコーストランスポーターGLUT4を発現させ、シアル酸にタグを導入後、インスリンで刺激をしてGLUT4-GFPを細胞膜に集積させた。Alexa555で標識した生細胞用のクリックプローブを反応させた後、インスリンを除くことでエンドサイトーシスをスタートさせ、共焦点レーザー顕微鏡で観察した。細胞膜非透過性の消光剤を用い、生細胞の表面の糖鎖を標識したラベル化剤が細胞内に入らないことを確認、観察されたFRETシグナルがGLUT4-GFPのエンドサイトーシスに因ることを示した。またシアル酸だけでなくフコース修飾された標的タンパク質の可視化にも成功した。

今後の研究の推進方策

(抄録なし)

研究成果

• [雑誌論文] 特定の糖鎖構造をもつ標的タンパク質の蛍光イメージングと細胞内動態解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美、鈴木匡
  • 雑誌名: 化学と生物 巻: 52 ページ: 100-105
  • NAID: 130004808945
  • 査読あり
• [雑誌論文] FRETを使った特定の糖タンパク質の可視化 (2013)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美、鈴木匡
  • 雑誌名: 実験医学(増刊) 巻: 31 ページ: 186-191
• [雑誌論文] Visualizing specific protein glycoforms by transmembrane fluorescence resonance energy transfer (2012)
  • 著者名/発表者名: Haga, Y., Ishii, K., Hibino, K., Sako, Y., Ito, Y., Taniguchi, N., Suzuki, T
  • 雑誌名: Nature Communications 巻: 3 号: 1 ページ: 907-907
  • DOI: 10.1038/ncomms1906
  • 査読あり
• [雑誌論文] Immobilization of carbohydrate clusters on a quartz crystal microbalance sensor surface (2012)
  • 著者名/発表者名: Ogiso M, Matsuoka K, Okada T, Imai T, Itoh M, Imamura T, Haga Y, Hatanaka K, Minoura N
  • 雑誌名: J Colloid Interface Sci 巻: 393 ページ: 257-263
  • DOI: 10.1016/j.jcis.2012.10.056
  • 査読あり
• [雑誌論文] N-Glycosylation Is Critical for the Stability and Intracellular Trafficking of Glucose Transporter GLUT4 (2011)
  • 著者名/発表者名: Yoshimi Haga, Kumiko Ishii, Tadashi Suzuki
  • 雑誌名: The Journal of Biological Chemistry 巻: 286 号: 36 ページ: 31320-31327
  • DOI: 10.1074/jbc.m111.253955
  • 査読あり
• [学会発表] 糖鎖イメージング : 標的糖タンパク質の可視化とその動態解析 (2014)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: 糖鎖インフォマティクス若手の会
  • 発表場所: 理化学研究所(埼玉県)
  • 年月日: 2014-02-12
  • 招待講演
• [学会発表] 内在性の標的タンパク質のグライコフォームを可視化する技術の開発 (2013)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: GlycoTOKYO2013
  • 発表場所: 成蹊大学(東京都)
  • 年月日: 2013-10-19
  • 招待講演
• [学会発表] FRETによる糖タンパク質の細胞内動態イメージング解析 (2013)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: 2013年度イメージング若手の会
  • 発表場所: 東京理科大学野田キャンパス(千葉県)
  • 年月日: 2013-09-08
  • 招待講演
• [学会発表] 標的タンパク質の糖鎖修飾蛍光イメージングと細胞内動態解析 (2013)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美、石井久美子、日比野佳代、佐甲靖志、谷口直之、鈴木匡
  • 学会等名: 第32回日本糖質学会年会
  • 発表場所: 大阪国際交流センター(大阪市)
  • 年月日: 2013-08-06
• [学会発表] Imaging of glycoforms as a sweet tool to visualize the dynamics of specific glycoproteins (2013)
  • 著者名/発表者名: Yoshimi Haga, Kumiko Ishii, Kayo Hibino, Yasushi Sako, Yukishige Ito, Naoyuki Taniguchi and Tadashi Suzuki
  • 学会等名: 3rd Joint Austria/Japan Seminar on Glycobiology
  • 発表場所: 理化学研究所(埼玉県)
  • 年月日: 2013-07-02
• [学会発表] Imaging of glycoforms as a sweet tool to visualize the dynamics of specific glycoproteins (2013)
  • 著者名/発表者名: Yoshimi Haga, Kumiko Ishii, Kayo Hibino, Yasushi Sako, Yukishige Ito, Naoyuki Taniguchi and Tadashi Suzuki
  • 学会等名: RIKEN-Max Planck Joint Research Center for Systems Chemical Biology, the 2nd Symposium
  • 発表場所: 理化学研究所(埼玉県)
  • 年月日: 2013-04-16
• [学会発表] 特定の糖鎖構造を持つ標的タンパク質の蛍光イメージングと細胞内動態解析 (2013)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美、石井久美子、日比野佳代、佐甲靖志、谷口直之、鈴木匡
  • 学会等名: 第86回日本生化学会大会
  • 発表場所: パシフィコ横浜(横浜市)
• [学会発表] 糖鎖イメージング:標的糖タンパク質の可視化とその動態解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: 定量生物学の会第5回年会
  • 発表場所: 東京大学生産技術研究所(東京都)(招待講演)
  • 年月日: 2012-11-25
• [学会発表] 特定の糖鎖構造を持つタンパク質の蛍光イメージングと細胞内動態解析 (2012)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美、石井久美子、日比野佳代、佐甲靖志、谷口直之、鈴木匡
  • 学会等名: 第31回日本糖質学会年会
  • 発表場所: 鹿児島市民文化ホール(鹿児島県)
  • 年月日: 2012-09-18
• [学会発表] Studies on ER-derived free oligosaccharides : Real-time analysis of their transport from the ER (2012)
  • 著者名/発表者名: Yoshimi Haga
  • 学会等名: 2nd SNU-RIKEN workshop
  • 発表場所: Seoul, Korea
  • 年月日: 2012-05-18
• [学会発表] インスリン応答性グルコース輸送体GLUT4上のN型糖鎖修飾の生理機能 (2011)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: Glyco TOKYO 2011
  • 発表場所: 理化学研究所(埼玉県)
  • 年月日: 2011-12-09
• [学会発表] グルコース輸送体GLUT4上のN型糖鎖修飾の生理機能 (2011)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: 第84回日本生化学会大会
  • 発表場所: 国立京都国際会館(京都府)
  • 年月日: 2011-09-22
• [学会発表] N-glycosylation is critical for the stability and insulin-mediated translocation of GLUT4 glucose transporter in HeLa cells (2011)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: 21st International Symposium on Glycoconjugates
  • 発表場所: Vienna, Austria
  • 年月日: 2011-08-22
• [学会発表] Glycoform imaging : sweet tool to visualize the dynamics of a specific glycoprotein (2011)
  • 著者名/発表者名: 芳賀淑美
  • 学会等名: 2nd Joint Austria/Japan Seminar on Glycobiology
  • 発表場所: Vienna, Austria
  • 年月日: 2011-08-20
• [備考]
  • URL: http://www.rikenresearch.riken.jp/eng/research/7084.html
• [備考]
  • URL: http://www.riken.jp/r-world/info/release/press/2012/120620/detail.html
• [備考]
  • URL: http://www.rikenresearch.riken.jp/eng/research/6754
• [備考]
  • URL: http://www.riken.go.jp/r-world/research/results/2011/110719/index.html