研究課題
特別研究員奨励費
次世代の不揮発性メモリの候補の一つとして、強誘電体薄膜を利用した強誘電体メモリの実用化が期待されている。本研究では全く新しい着想点から、PZT薄膜の自発分極を超える強誘電性を発現させる事を目的とする。本研究は常誘電体であるSrTiO_3 (STO)ホモエピタキシャル薄膜から陽イオン比の化学量論組成比からのずれに起因した強誘電特性を発現させ、さらに基板との格子不整合性による面内歪を利用する事で今までにない大きな自発分極の達成を目指した。最終年度として下記の項目を達成した。1. STO薄膜中に陽イオンの組成比変化に起因した欠陥導入と制御を確立した。2. 任意の欠陥構造を簿膜中に導入することにより電気伝導性の向上及び強誘電性の発現を達成した。SrTiO3薄膜中に陽イオン不定比性に起因した欠陥構造を導入することに成功した。さらに、この欠陥構造に関して、製膜条件を精密に制御することにより、変化させる事に成功した。すなわち、この任意に制御を行った欠陥構造を、本研究目的である強誘電性発現、そして派生成果として電気伝導性の向上に応用した。その結果、欠陥構造制御を行ったTi過剰STO薄膜において、量子常誘電体であるSTOから強誘電性を発現させ、さらに電子ドープを行ったSTOにおいて報告されている中で最も大きな電子移動度約53,000cm^2V^<-1>s^<-1>を達成した。これらの物性発現は、不定比性に起因した欠陥構造創出する応力場と密接に関係しているものと考えられる。つまり、この欠陥構造に起因した応力場を制御することにより物性の発現及び向上を達成した。このことは、本研究成果は今後、ペロブスカイト型酸化物における新たな物性制御の指針を示す事に繋がる成果であると言える。
(抄録なし)
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