研究概要 |
プラズマから放射される可視光線スペクトルがドップラー効果を受けて波長シフトすることを利用して、プラズマの熱運動や流れを線スペクトルのドップラー幅・バルクシフトから調べる手法であるドップラー分光計測にコンピュータトモグラフィを応用し、プラズマ内部の局所イオン温度・流速分布計測を目指す本計画に関し、最終年度である平成25年度は研究成果のまとめとして、 [1]マルチチャンネルファイバー分光にトモグラフィを応用した局所イオン温度計測法の論文出版 (H. Tanabe et. al., Nucl. Fusion, 53,093027 (2013)) [2]マルチチャンネル分光にベクトルトモグラフィを応用したイオン流速分布計測法の論文出版 (H. Tanabe et. al., PFR, 8,2405088 (2013)) の2点の論文発表および、さらなる応用開拓として、 [3]英国カラム研究所のMAST装置における世界最大の大型球状トカマク合体実験への大型装置応用 を行った。[1][2]の論文成果により、MASTのビーム分光計測グループから協力を取り付けるところに成功し、2013年のM9キャンペーン中にミッドプレーンのポートを一つ獲得、現地に32チャンネルのイオンドップラートモグラフィ計測を新しく建設した。これにより、従来MAST既設の中性粒子ビームを用いた荷電交換分光による能動計測システムでは計測不可能であった、合体法やEBWを用いたCS-less立ち上げ過程におけるイオン温度の局所分布計測が初めて実現した。本成果によりイオン加熱の空間分布が初めて計測可能になったことで東大-MAST共同研究が大幅に進展し、合体下流のイオン温度が磁気リコネクションの再結合磁場B_<rec>(^<DC>I_<PF : startup coil>)の2乗に比例して上昇する過程をとらえ、TS-3, TS-4装置の実験室プラズマで確立したリコネクション加熱の大型装置実証に成功したほか、130点トムソン散乱計測と連携した高空間分布計測により、合体下流のイオン加熱とX点に局在した電子加熱が相互にτ^E_<ei>程度の時間スケールで相互にエネルギー緩和する過程を初めて明らかにし、2012年までの研究成果から大幅な進展がみられた。
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